大学進学に際して気になるのが、お金の問題だ。4年間の学費だけで最低でも400万円程度が必要となる。景気回復の実感がないなか、注目すべきは給付型奨学金の存在だろう。返済義務がない制度を利用すれば、親子ともストレスの少ない4年間を過ごせる。好評発売中のアエラムック「就職力で選ぶ大学2020」では、まなびシード代表取締役で奨学金アドバイザーの久米忠史さんを取材した。
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少子化で18歳人口が減少する一方、文部科学省の「学校基本調査」によると大学や短大進学率は2018年度に過去最高の57・9%に達している。もっとも、不況風の影響から、すべての家庭がその経済的負担を楽に背負えるわけではない。
文科省の統計によれば、大学進学によってかかる子ども一人あたりの初年度の費用は、国立大学で約82万円、私立大学では文科系学部で110万円台、理科系の学部では140万円台にもなる。一人暮らしの必要があれば、4年間の生活費も重くのしかかる。長引く景気低迷によって奨学金の必要性は高まり、いまや大学生の2人に1人が何らかの奨学金制度を利用しているといわれている。
そのなかでも、奨学生の多くが利用するのが日本学生支援機構(JASSO)の「貸与型奨学金制度」だ。無利子の第一種と有利子の第二種の2種類の貸与がある。こうした従来の貸与型に加え、18年から本格導入されたのが、JASSO初の「給付型奨学金制度」だ。
■JASSOの給付型では入学金と授業料の減免も
「新たな給付型奨学金制度は、低所得者層に対する実質的な高等教育無償化政策です」
そう語るのは、奨学金アドバイザーの久米忠史さんだ。全国の高校や進学相談会で保護者向けの講演を行う奨学金制度のエキスパートはこう続ける。
「給付型奨学金制度は、4人世帯で年収270万円未満という住民税非課税世帯、およびそれに準ずる経済的に苦しい家庭が対象です。20年度から始まる新給付型奨学金では、支援内容が一気に拡充されます」