日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、2人の女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は、イヌとヒトのとの関係性について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
昨年12月25日、ペットフード協会による全国犬猫飼育実態調査(2018年)で、ネコの推定飼育数が2年連続でイヌの数を上回ったことがわかったとのニュースが報じられました。ネコは近年900万匹台で推移。1人暮らしの女性がネコを飼うなど、現代のライフスタイルに合っている可能性があるのではないかと分析されています。また、イヌは7歳以上の高齢犬の割合が多く少子高齢化が進んでおり、飼育数の減少が続きそうだとのことでした。
読者のみなさまには、イヌやネコなど動物を飼っている方も多いのではないでしょうか。今回は、イヌについての興味深い研究結果をご紹介したいと思います。
「ペットは飼い主に似る」とよく言われますよね。なんと、「実際にイヌは飼い主に似る」という研究結果が今年2月、ミシガン州立大学のWilliam氏らによって報告されました。1681匹の犬の飼い主らに、自身の性格と飼っているイヌの性格について質問票に記入してもらったところ、イヌと飼い主は性格の特徴が似ていることがわかったそうです。同調性の高い人は、活動的で興奮傾向にあるイヌを飼う傾向があり、誠実な性格の飼い主は飼いイヌをよく訓練されていると評価し、神経質な性格の飼い主は、飼っているイヌは怖がりであると評価する傾向にあったといいます。
我が家にも最近、オスのミニチュア・シュナウザー(レオくん)がやってきたのですが、やんちゃで落ち着きがありません。毛もボサボサで、よく寝ています。確かに、飼い主である私に似ている気がしてなりません。
13年5月、米国心臓協会(AHA)は、定期的に散歩させる必要があるペットを飼うことは心血管リスクを下げる方法として結構なことであるという見解を示しました。特にイヌを飼うことは、心血管疾患リスク低下と関連するようだと言います。
室内で飼える小型犬であっても、健康維持に散歩は欠かせまん。けれども、ヒトにとっても同じことが言えそうです。
18年9月、オックスフォード大学のChekroud氏らによる米国の18歳以上の成人約124万人のデータ解析の結果、死亡・心血管疾患・脳卒中・糖尿病のリスク低下との関連が示されているサイクリングや有酸素運動、ジムでの運動といった日頃の運動は気分の改善とも関連していることが判明したと報告されました。45分間の運動を週に3~5回することが気分を最も良くし、連続で90分間の運動を週5回以上すると行った運動のやりすぎは、逆に気分の悪化と関連していることはわかったと言います。
イヌの大きさによって、必要な散歩回数や時間は異なっていますが、少なくとも、イヌと散歩することは、ヒトのカラダもココロも健康にする一助となると言えるでしょう。