■「寛容さ」に欠ける社会という世界の評価

 そうした観点から、私が気になったのは、「世界幸福度ランキング2019」に関する報道だ。国連の関連団体が発表するランキングだが、今回、日本は156カ国・地域中58位で史上最低、18年の54位から四つ順位を下げた。OECD加盟国の中で見ると、36カ国中32位と最下位グループである。その調査手法に対しては様々な評価があるのだが、少なくとも悪い方向へ向かっている可能性があるという意味では心配な結果だ。

 このランキングでは、アンケート調査を基に、(1)1人当たりの国内総生産(GDP)、(2)社会的支援の充実ぶり、(3)健康寿命、(4)人生の選択の自由度、(5)寛容さ、(6)社会の腐敗の少なさ、の6項目で分析している。日本は健康寿命で2位、1人当たりGDPで24位なのだが、人生の選択の自由度(64位)、寛容さ(92位)の順位が低かったため、全体の評価が低くなってしまったということ。そこで気になることがある。

 それは、「寛容さ」の順位が極めて低いことだ。国際的にみると、日本は「寛容でない」というメッセージになっている。

 このメッセージと現職キャリア官僚によるヘイト発言は非常に整合的なものに見える。

■沖縄・辺野古埋め立てに見る安倍政権の「不寛容」

 さらに、沖縄の県民投票の結果を無視して、辺野古埋め立てを強行する安倍政権の姿勢も、いかにも弱者や異論を述べる人たちに対して寛容さがない行動に見える。

 ジュゴンの死も、やはり、生物多様性の保護という価値観を完全に無視した日本政府の蛮行を象徴するようだ。沖縄・辺野古の海に赤茶色の土砂が流れ込む映像は世界に衝撃を与えた。傷だらけのジュゴンの無残な姿も人々の心を深く傷つける。3月19日には、アメリカの12の自然保護団体が米下院軍事院長らに対し、辺野古新基地建設工事一時中止を求める書簡を送付したというニュースも流れたが、これら一連のニュースは、日本政府の辞書に「寛容」の文字はないと世界に宣伝しているようなものだ。

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