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震災後、ぶらり福島旅を続けるお笑い芸人のカンニング竹山さん。今回の旅で出会ったものとは?
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週末に福島旅行してきたんですが、今回ちょっと面白い動きを目にしました。福島はずっとエネルギーで食ってきた地域なんですが、もともとは炭鉱の街で、農業や漁業でも首都圏に出荷して栄え、エネルギーが石炭から石油や電気に変わった流れで原子力発電所を造ったわけです。そこで地震と原発事故が起きたわけだけど、いま新しい事業がスタートしているんですよね。
日本では石炭の生産はコスパが悪くて減ったけど、国内の火力発電所なんかではまだまだ石炭を使っていて、意外と輸入量はある。そこで石炭をガスに変えて火力発電に利用するっていう新しいエネルギーが福島で始まろうとしていて、スパリゾート・ハワイアンズを運営する会社なんかも出資しているんです。津波の被害にあった地域に工場が建って、景色も変わったりしています。
一方の農業もV字回復していて、支援のためにあえて福島の農産品を選んでいる人とか、野菜にしても米にしても1品1品検査しているから出回っているものは逆に一番安全だっていう知識を得た人も増えていますよね。でも、農家の人に聞いてみると、まだ風評被害はあるらしいんです。しかも不思議なことに、例えば、福島と北海道とか産地が少ない農作物は風評被害を受けないのに、白菜とか全国で作っているようなものだと風評被害が出るらしい。それって、何なの? きちんと検証してみたら、何の根拠もないんですよ。イメージだけで流されている人がまだいるってことですよね。
漁業は原発から半径10キロ圏内より外で、月に何回かの試験操業が続いています。日本でも有数の漁場で8年も獲っていないんだから、まあ良い魚がいるんですよ。市民の海洋調査チーム「いわき海洋調べ隊うみラボ」の代表の小松さんによると、魚からは食べてはいけないレベルの放射性物質が出ることはほとんど無いんだそうです。これまでたくさん調査して安全が確認されている種類だけを獲っているから、放射性物質が出るかどうかの試験というより、東京の市場とかに出荷して流通させてもらえるかを試験するという意味合いが強いらしい。それって試験操業という言葉を変えたほうが良いんじゃないかと僕は思うんですよね。試されてるのは、こっち側ですから。