話題を呼んだ囲碁シーン (c)長谷川町子美術館
話題を呼んだ囲碁シーン (c)長谷川町子美術館
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大橋拓文六段(@ohashihirofumi)の検証ツイート(画像の一部を加工しております)
大橋拓文六段(@ohashihirofumi)の検証ツイート(画像の一部を加工しております)
大橋拓文六段 (c)朝日新聞社
大橋拓文六段 (c)朝日新聞社

 国民的人気アニメ「サザエさん」は1969年10月5日に放送が始まり、今年でアニメ50周年を迎える。「サザエさん一家」の周りで起きるドタバタ劇には悪の組織も出てこなければ、SF的ド派手な展開もない。だが、そんなごく平凡なサザエさんの住む架空の町で世界レベルの戦いが繰り広げられているという情報をキャッチした。

【検証】波平の腕前は…? 大橋六段が比較したツイートはこちら

 ことの発端は、あるツイッターユーザーの「サザエさんの囲碁シーンを検証した」というツイートだ。サザエさんでは波平さんがマスオさんや隣人の小説家・伊佐坂難物先生と囲碁を打つシーンが度々出てくるが、このユーザーは1年かけてサザエさんを録画して検証し、

<そういや前にサザエさんとまるちゃんを1年間録画して囲碁シーンを集めた事があるんですけど、検証した結果。「波平さんは割と忠実に囲碁勉してる」「友蔵さんは、偽物の碁盤と適当な囲碁本を買ったのでは・・?」という結論に至りました>(本文ママ)

 とツイッターに書き込んだのだ。

 すると、このツイートは囲碁好きの間で瞬く間に拡散され、プロ棋士の大橋拓文六段もシーン検証に参戦。波平さんが囲碁教室で碁を打つ「ちょっとそこまで」(2014年9月14日放送)の場面画像と、同年に行われた世界大会の盤面画像を並べてこう呟いた。

<では改めて盤面を凝視してください。ネタは仕込むものですね。サザエさん製作陣の気合いしか感じない。波平さん最強か。>

<この二人の対局と波平さんの盤面が一緒です。元ネタは14年に打たれており、この二人は世界戦優勝多数のトップ棋士です。盤面の再現はけっこう手間がかかるはずですが、国民的長寿アニメなのに盤面画像を使い回すことなく、最新ほやほやの最強対局を再現する心意気に囲碁クラスタは興奮しております。>

 と、高ぶりを隠さない大橋六段にAERA dot.が改めて取材すると、

「囲碁には定石という打ち方の模範のようなものがあって、その定石の形になっていることにまずびっくりしました。この定石は16年3月にコンピューター囲碁プログラム『AlphaGo』が登場してから激減した形だな、と見覚えがありました。そこで、おそらく10年以降で、13~14年くらいのものかなと予想していたら、友人が特定してくれました」(大橋六段)

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「波平さん最強か」