ここまで、和田アキ子を除く演歌歌手の名前が連なっている。「やはり」と思われる人も多いはずだが、はたして平成を代表する楽曲に演歌を思い浮かべる人はどれくらいいるだろうか。多くはJ-POPの隆盛を思い浮かべるのではないか。そこで、J-POP歌手に目を向けてみると、11位のDreams Come True、浜崎あゆみ(15回)、15位のaiko(13回)、17位のAKB48、Perfume(11回)、19位の安室奈美恵、いきものがかり、モーニング娘。(10回)の名前が20位以内で挙がる。このあたりの歌手の名前を聞くと、平成を感じ取れるかもしれない。

 しかし、平成の間に初出場した歌手に絞ってランキングを見てみると、1位は天童よしみ、2位は伍代夏子の22回、3位は藤あや子の21回、4位は香西かおりの19回、5位に水森かおりの16回と、またもや演歌歌手の名前が並ぶ。平成に入ってからデビューした水森をのぞき、いずれも昭和の終わりから平成のはじめにかけてのヒット曲を受けて初出場している。90年代のJ-POP全盛期を迎える直前まで、いかに演歌人気が根強く、かつ、息が長いのかがわかる。

 全体のランキングに目を戻しても、上位10人のうち9人が演歌歌手という結果になった。だが、近年では少なからず世代交代も起きているようで、特に15年の紅白を最後に、伍代夏子と藤あや子が姿を消している。

 この中に、平成から新しい時代に変わっても活躍する歌手はどれくらいいるだろうか。特に演歌ではない女性歌手の場合、国民的歌手としての地位を築き上げても、安室奈美恵のように引退してしまう歌手も少なくない。となると、グループ内で世代交代を続けられる、AKB48のようなアイドルユニットのほうが、紅白連続出場記録を安定して伸ばし続けるかもしれない。

 次の時代になっても、いったいどの歌手やグルーブが紅白に残り続けられるか……そう考えながら平成最後の紅白を見るのも一興だ。

(文/河嶌太郎)