民間試験とCEFR との対照表
民間試験とCEFR との対照表

 英検、GTEC、ケンブリッジ英検……。2020 年度から、民間の検定試験が大学入試に活用されることになった。高校の教育現場などから導入延期を求める声が相次ぐが、その背景には何があるのか──。発売中の英語学習誌「AERA English2019 Autumn & Winter」(朝日新聞出版)から抜粋して紹介する。

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 高校2年生が受験する2020年度の大学入試。英語では、7種類の民間検定試験が大学入試に組み込まれることになった。そこで高校などから問題視されているのが公平性だ。

 試験の検定料はどれも5000円以上かかる。経済的に豊かな家庭の受験生は、練習のために何度も受けられる。一方で本番の検定料を2回分払うことさえ負担となる家庭の受験生もいる。

 さらに地域によっては自分の居住地では受けられない試験があり、へき地や離島に住む受験生は、宿泊費をかけて検定を受けに行かなければならない可能性もあるのだ。

 文科省と民間試験実施団体は、こうした不公平さの解消について検討を続けている。9 月3 日に開かれた関係者による会議では、文科省が実施団体に「経済的困難な状況にある受験生に対する検定料の引き下げを引き続き検討してほしい」と要請。文科省から国への概算要求では、離島に住む高校生を対象に、民間試験受験のために発生する費用の補助を申請していることも明らかになった。試験場所に関しては、文科省から各地の大学や地方自治体に、実施団体から依頼があれば会場を貸し出してほしいと協力を求めている。

■複数の試験の結果を測るCEFRとは

 さらに、目的や測れる英語力、受験者の背景に違いがある複数の民間試験を、大学入試として公正に使えるのかという指摘もある。

 七つの民間試験の結果をみるときの指標として使われるのが、ヨーロッパ言語共通参照枠「CEFR」(セファール)だ。

 レベルはA1からC2までの6段階に分けられ、ごく大まかにいうと、A1とA2は「基礎段階の言語使用者」、B1とB2は「自立した言語使用者」、C1とC2は「熟練した言語使用者」とされている。

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