近年の行動観察は、個々で制作物を作ったあと、4、5人で持ち寄って遊ぶといった、表現力や他人を受容する力を見る課題が多いそうだ。
「課題には、各校が築き上げてきた価値がそのまま落とし込まれています。ブラックボックスと言われながらも、小学校受験は入社試験に似ていて、学校というコミュニティーに貢献できる家庭が合格するように試験が設計されています。また、『誰々ちゃんが1番、あなたは2番』などと、子ども同士をある単一の価値観のもとで競争させると、陰で他の子を落として自分だけ上にあがろうとする子が育ち、いじめにもつながります。こうした子どもは、集団の価値を上げるどころか下げてしまうので、学校側は絶対に入れたくないわけです」
学校にせよ、企業にせよ、誰かと「引き上げ合う」ことによって、集団で大きな力を発揮する。これは、社会的存在である人間の「本質」だと池田さんは考える。
「グローバル時代を生きるために必要なリーダーシップともいえるでしょう」
池田哲哉(いけだ・てつや)
学びの道教育研究所代表。早稲田大学法学部卒業後、小学校受験に特化した幼児教育に携わり、2006年独立。今年の行動観察は「感染予防のために、15分ほどの短時間で実施する学校が多いのでは」とみる。「自分に対する自信があるかないかは、短時間でもわかります」
(文/曽根牧子)
※『AERA English特別号 英語に強くなる小学校選び2021』より
【AERA English特別号】英語に強くなる小学校選び 2021 (AERAムック)
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