さらに、「流れを考える」ことも重要です。普段、文章を読む際には、こう書かれているから、この先こうなるはずという予測を働かせています。書きたいことを、書きたいようにただ書いている文章は、読み手の「予測」を裏切ることが多いため、正しく伝わりにくいのです。
伝わりやすい文章を書くためには、読解力の練習で読んでいる「説明文・論説文」の流れをまねすることが一番の近道となります。文章の前後のつながりである「文脈」をしっかりと意識しながら、読み手の立場に立ってみることです。その際、読み手の「人物像」や「思考の傾向」などを意識する必要があります。
最近、私は思うことがあります。それはもっと対面での会話を重視する必要があるということです。オンライン全盛の世の中だからこそ、真の学びは「人と人」との会話から生まれるのではという思いを強くしています。読んだ本の内容を楽しそうに一生懸命、親に伝える子ども。真剣に聞き、質問する親。立場を変えると、大人と子ども、子ども同士、大人同士でも同じことです。学習の基礎には人と人とのつながりがあり、そのような関わりのなかから「読解力」の下地が生まれるのではと考えています。
(早稲田アカデミー中学受験部・奥村浩祐)
※月刊ジュニアエラ 2021年5月号より
ジュニアエラ 2021年 05 月号 [雑誌]
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