いま中学受験に必須の能力が「読解力」です。小中学生向けニュース月刊誌「ジュニアエラ」では、早稲田アカデミー中学受験部の奥村浩祐先生による「読解力講座」を連載中。1月号では「文章を書くことと読むことのつながり」について解説しました。
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今回は、「文章を書く」ことと「読む」ことのつながりについて考えてみましょう。今回のポイントは「流れを考える」です。
作文の指導をしているときに感じるのが、「書きたいことを、書きたいように書いている」ため、自分以外の人には伝わりにくい文章になっているということです。なぜ、このような文章は伝わりにくいのでしょうか。文章を読む際に、みなさんはどのようなことを考えていますか。
今回注目するのは、「次の展開を考える」という点です。ドラマや漫画などがいい場面で終わったとき、多くの人は「次はどうなるのか」と考えますし、そこから「こうなるのでは?」と予測する人も多いと思います。実は、文章を読む際にも、「こう書いているんだから、この先はこうなるはず」という予測を働かせているのです。上記の「書きたいことを、書きたいように書いている」文章は、「予測」を裏切ることが多いため、伝わりにくいのです。
では、伝わりやすい文章を書くためにはどうするか。一つ目は普段、読解練習で読んでいる「説明文」や「論説文」の流れをまねすることです。二つ目は、「文脈」をしっかりと意識することです。文脈とは文章の前後のつながりのことです。三つ目は、読み手の立場に立ってみることです。
一つ目に関して、これは文章全体の構造をまねしましょう。「話題→説明→まとめ」という基本的な流れを守って文章を構成してみてください。これだけでもぐっとわかりやすくなります。
二つ目に関して、文脈を意識するためにはバラバラの文章をもとに戻す練習が効果的です。
三つ目に関して、読み手の立場に立つのが実は一番簡単です。書いた文章を音読してみてください。「書きたいことを、書きたいように書いている」文章は非常に読みにくいことがわかります。つまり音読して読みやすい文章は伝わりやすい文章ということです。
以上のように読み方と書き方は密接なつながりがあります。せっかく読解練習をするのですから、書き方についても意識してください。書き方が上手になってくると、文章を読む力も上がってきます。ぜひトライしてみてください。
勉強のポイント!
1 文章を書く際には、伝わりやすい流れや文脈を意識しよう。
2 書いた文章は必ず音読して、読みやすいかどうか、確認しよう。
(早稲田アカデミー中学受験部・奥村浩祐)
※月刊ジュニアエラ 2021年1月号より