いま中学受験で欠かせない能力と言われるのが「読解力」だ。小中学生向けニュース月刊誌「ジュニアエラ」では「読解力講座」を連載中。3月号では、情報を整理する力について、早稲田アカデミー中学受験部の奥村浩祐先生が解説した。

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 これまでは「読み方」=「書き方」に注目し、読解力を上げるには「書く練習(表現する)」が大切であることについて触れてきました。今回は、読解力の重要な要素の一つである「整理する力」について考えましょう。

 読解力という言葉には「解」という漢字が入っています。この「解」という言葉には主に、(1)「不明な点や理由を明らかにする」(2)「ほぐれてわかる。ときほぐした考え」という意味があります(学研『漢和大字典』から)。注目したいのは(2)の意味です。読解力の解を(2)の意味で言い直すと「文章を解きほぐして、わかる状態にする力」といえます。人がわかる状態になるためには、情報が整理されている必要があります。五月雨式に情報を得ても、整理されていなければ内容を理解できません。高度に情報化されている現代では、特に「整理する力」は必須の能力といえます。では、この整理する力はどうすれば伸びるでしょうか。

 私は勉強で本を読むときに気をつけていることがあります。それは、自分が重要だと思った点を「ノート」に書き出すということです。始めたきっかけは小学3年生のころ、当時の先生にすすめられたからです。本が好きでよく読んでいましたが、その内容を両親や友達にうまく伝えられず、おもしろさを共有できないことが不満でした。そんなとき、先生から「内容を書き出しておけば、伝えたい内容がすぐにわかるから、どう伝えるかじっくり考えられるよ」とアドバイスをいただきました。実際にやってみると、確かにその通りでした。

 つまり、今風の言い方で言うと「アウトプット」しないと「情報は整理できない」ということです。これは最終的には「すべての科目」に共通することです。

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奥村浩祐
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