「たいていの親は、『早くよくなってほしい』と、結果を求めがち」と西村先生は指摘します。
「すぐに勉強もやるようになってほしいし、成績も早く上がってほしい、と子どもに求めることで喧嘩になります。その気持ちは理解できますが、子どもにとっては過剰で、無理難題を押しつけられているという気持ちになります」(西村先生)
その結果、やろうという気すら起こらなかったり、やったふりをしたりごまかしたりしてしまう。結局、また同じ喧嘩が繰り返されるといいます。
「ですから、お子さんがちょっと頑張れることから始めてみましょう。『勉強をやりなさい』という大きな目標を掲げるのではなく、『この例題をわかるようにしてみよう』というように階段を低く設定してあげる。やり終わったら、できたね!と認めてあげること。地味な作業ですが、この繰り返しで子どもは階段を昇って行くのです」(同)
■「これはやろうね」と言われたことを、あえてやらない反抗期
「4、5年生のうちは、やるべき勉強はこなしていましたし、大きな悩みもなく、このまま順調に受験期に突入するものだと信じて疑いませんでした」というのは、6年生の夏以降、息子さんの反抗期に翻弄されたCさん。
「朝起きた瞬間からイライラしているのがわかり、朝ご飯も食べたがらず、朝の計算・漢字も一切やらなくなってしまいました。塾に行くと嘘をついてサボっていたことも数回。怒れば、『うっせーな!』と大喧嘩に発展。受験期じゃなければ、反抗期は通る道だと大きな目で見守ることができたかもしれませんが、全く勉強をやらなくなってしまったため、成績は急降下の一途。このままじゃ墜落する、どうにかしなきゃ、と気持ちは焦るばかりでした」(Cさん)
親が「これだけはやろうよ」と言えば、あえてそれはやらない。塾の先生に、宿題として出してもらうこともお願いしましたが、そうするとこれ見よがしに夜中の1時頃までだらだらと時間をかけてやるように。当然朝起きられなくなり、機嫌が悪くなる、授業中も居眠りをする、注意すれば荒れる、という負のスパイラルにはまってしまったそう。
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