「大人に比べると、子どもはどうしても狭い視野の中で物事を判断しがちです。それを全て叶えようとすると、親の方針がぶれてしまうことになりかねません」(西村先生)

 一方で子どもの意見には、単なる気まぐれではなく、正当な理由がある場合もあり、「話はきちんと聞くべき」と指摘します。

「どうしても男子校に行きたいというお子さんがいました。話をよく聞くと、小学校では女子が強く、あまり意見を言えない自分は男子校のほうが友達や居場所を作りやすい、と思っていたからだそうです。こんなふうにきちんとした理由があって主張している場合は、子どもの希望に沿った学校選びをしたほうがいいでしょう」

■親子ゲンカをしていた時間がもったいないかった

「やる気がないなら、もう辞めなさい!」と成績の上がらない娘と喧嘩になることが多く、塾を「辞める、辞めない」という選択肢を行ったり来たりすることが多かったBさん。塾に電話をして、「もう辞めさせようと思うのですが」という相談を何度もしたといいます。

「そう話すと先生方も一応の対応策は講じてくれるのですが、結局は娘のやる気次第ですから、偏差値もさほど変わらず、伸び悩んだまま。塾の先生には、この家庭はしょっちゅう『辞める、辞める』と言って辞めない。辞める辞める詐欺だと思われていたかもしれない」と笑います。

 結局、我が子に変化が見えたのは、正月が開けて、東京以外の学校の受験が始まった頃。受験をした友達が不合格になった結果を聞き、「落ちる」ことをリアルに感じたようで、それまでとは明らかに違った様相で勉強をし始めました。

「結局は第3志望校に滑り込みで合格をすることができましたが、もっと早くエンジンがかかっていたら、という思いもぬぐえません。振り返ると、塾を辞める、辞めないで大騒ぎしていた時間が、かなり不毛だったように思います。結果、何も変わりませんでしたから、そんな時間があったら、子どもが拒否反応を起こさないような受験にまつわるテレビのクイズ番組やYouTubeなどで、雑学でも身につけたほうが得策だったかもしれません」(Bさん)

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