「勉強しなさい!」とうるさく言うのは、大人だってイヤです。子どもが自分から机に向かうためにできることは? 好評発売中の「AERA with Kids夏号」では「最強のおうち学習」を特集。夏休みに向け、自宅で学習習慣をどう身につけるかについて、話題の教育系YouTuber葉一さんにアドバイスをうかがいました。

授業動画が人気の教育系YouTuber葉一さん(撮影/写真部・戸嶋日菜乃)
授業動画が人気の教育系YouTuber葉一さん(撮影/写真部・戸嶋日菜乃)

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 教育系のYouTuberとして、小学生から高校生までの授業を動画で行う葉一さんは、「小学生のおうち学習は、自分に合った勉強のやり方を探す『勉強の練習』時間だと思っています」と話します。

 大人の役目は、子どもが自分流の勉強スタイルを見つけるサポートをすること。

「『やった』と『覚えた』は、一見同じに見えますが、まったくちがいます。たとえば漢字を五つ覚えてくるという宿題で、それぞれ『10回書いた』としても、はたしてその漢字をちゃんと『覚えた』かどうかは別問題。この宿題の目的はあくまで漢字を覚えることなのですが、親御さんはつい『回数』にこだわってしまうのです」(葉一さん)

 漢字なら同じ漢字をたくさん書く、計算ならとにかく数をこなすなど、ノートを埋めることを「勉強」と思いこみがちです。

「大切なのは、ノートを『埋める』ことではなく『覚える』、『できるようになる』こと。もし2回書いて覚えられたら、それでOK。大人がそこを理解できていれば『すごい、2回で覚えたね! じゃあ、次にいこうか』と、効率化の手段や、『今日はたくさんがんばったから、明日は三つでおしまいにしよう』など、ラクする勉強テクニックを教えたりすることもできます」

●夏休みの学習は、宿題と99%の復習でOK

 自宅学習の習慣は、これから訪れる夏休みに向け重要度が増します。そのときに親が気を付けるべきポイントも教えてもらいました。

 中学受験を考えているなら別ですが、基本的に夏休みは学校の宿題と復習をメインにしましょう。たしかに、予習をしておけば、夏休み明けに授業が一時的にラクなのは事実。そのため、親はつい予習をやらせようとしがちです。しかし、一から習得しなければならない予習は、復習に比べると、エネルギーも時間も相当消費するもの。子どもがある程度理解しているところをしっかり復習するほうが、学習も深く定着し、親子とも心が穏やかでいられるのです。

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三宅智佳
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