新学期が始まり、友人関係にも変化が訪れる時期。何かとトラブルもおきやすい時期でもあります。そこで、小学生の保護者から実際に寄せられた「お悩み」について、『心が軽くなる友だち関係』(ポプラ社)を出版した埼玉学園大学大学院 心理学研究科教授の藤枝静暁先生に答えてもらいました。
【マンガ】よくある「子どもの友人トラブル」はこちら(全12枚)少しずつ、自分の意思を伝える練習を始めましょう。これもソーシャルスキルです
――せっかく自分でやろうと思っていたものを、とられてしまったのですね。
学校と家でのお子さんの様子をきちんと把握していらっしゃることが素晴らしいです。お悩みを拝見しまして、子ども同士のこととはいえ、気になりますよね。
子どもの心の成長を考えてみると、小学3年生くらいだと「自分がいいと思っていることを、相手もいいと思っている」「自分が考えていることは、相手も考えている」と思っている子どももまだいるのです。
たとえば、ある子どもがブロックを並べてお店屋さんごっこを始めます。「いらっしゃい、いらっしゃい」と声を上げるのですが、ほかの子はほかの遊びに夢中で誰も来てくれない。すると、泣きだしてしまうのですが、これは「自分がお店屋さんごっこをやりたいように、みんなもお店屋さんをやりたいと思っている」と思っているのもので、発達心理学で「自己中心性」といいます。
個人差はありますが、小3、4くらいになると「自分はこうしたいと思っているけれど、ほかの人もそれぞれやりたいことがある」ということが理解できてきます。もしかすると友人は、ゲームを「とった」のではなく、「早くクリアしたいと思っている」ととらえて、代わりに進めて「ほら、クリアできたよ、よかったね」という気持ちであったということも考えられます。あくまで想像ですが。
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