幼少期を欧米で過ごす間、通っていた学校や祖父母からマネー教育を受けたという川口さん。

「海外では、家庭や学校でも、オープンにお金の話をしていたんです。ですから、日本に帰ったときまわりの人がお金の話を全然しないので、とても戸惑いました」

 日本では、まだまだ人前で「お金を増やす」「儲ける」といった話題は敬遠されがち。でも、家庭でお金の話をすることがマネー教育のいちばんの近道と川口さん。

「たとえば、『300万円の四輪駆動車と400万円のスポーツカー、どちらを買おうか迷っているんだ』など、買い物の相談を子どもにするのもいいですね。『金額が高すぎるかも』なんて考えるのは、マネー教育に悪影響。すると、『うちは山が好きだから四輪駆動車がいいんじゃない? 頑丈だし』など、子どもなりに一生懸命考えるものです。こういうことを繰り返すことで広い視野でものを見る習慣がつき、目的に合ったいい買い物ができるようになるのです」

 お金は、一生向き合うもの。

「失敗談だって、いい勉強につながります。これからは、家族でどんどんお金の話をしましょう!」

 お金を取り巻く環境は、目まぐるしく変化しています。

「私は、8歳のときに複利式の仕組みを知りました。そのときからお金の積み立てをはじめたんです。複利式は時間が経てば経つほど運用の恩恵を受けますよね。そのおかげで成長の節目で親孝行ができたり、大きな買い物をしたりすることができました。一生つき合っ

ていくお金。知識があるかないかで、心の余裕にまで影響を与えます。子どもの将来のためにも大人もつねにアンテナを張って、知識をアップデートしておきましょう」(川口さん)

 もう一点、上に挙げた用語のほかに川口さんが伝えたいのが「インフレ」。今、じわじわとその兆候が見えてきているといいます。

「収入は上がらず、ものの値段だけが上がる状態です。これはすなわち、お金の価値が下がること。こんなときに、もし資産を外貨や株式、金やプラチナなどに分散できていれば、インフレ時でもお金をためる対策として有効なのです。このように、マネーの知識をつけてお金のピンチにも強くなってほしいですね」

(取材・文 AERA with Kids編集部 三宅智佳)

「AERA with Kids2021年冬号」より抜粋。

AERA with Kids (アエラ ウィズ キッズ) 2021年 冬号 [雑誌]

朝日新聞出版

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三宅智佳
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