「日本のマネー教育は、残念ながら海外にまだまだ追いつけていないと感じます」と、ファイナンシャルプランナーの川口幸子さん。カードやスマホ決済など、世の中のキャッシュレス化が急激に進む中、お金の知識は必須です。そこで、「AERA with Kids冬号」では、家庭で行えて、これからの時代に役立つマネー教育をうかがいました。

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 買い物でごく当たり前に電子マネーをピッ! その金銭感覚に不安を感じる大人は多いはず。「お金の価値や使い方が理解できていないと、よくわからないままネットで課金をしたり、サブスクに加入したり。将来、多額のクレジットや契約を結んでしまう、なんて可能性もあるのです」と、ファイナンシャルプランナーの川口幸子さんは話します。お金を取り巻く環境が変わってきた今、親子のマネーに対する考え方も改革の必要がありそうです。

「マネー教育は、決して“お金持ち”になるためのものではなく、将来、お金に左右されずにコントロールできるようにするためのもの。正しくお金と向き合うための知識なのです」(川口さん)

 おこづかいは、小学生になったら毎月決まった金額を渡して、子どもにやりくりをさせる。これが王道スタイルでした。

「それでは、お金の“ありがたみ”が圧倒的に薄いですよね。お金教育の基本のキは、家庭での『おこづかいのあげ方』だと思うのです」(川口さん)

 子どもにとって「ただで手に入るお金」だったおこづかい。でも、自分の「目的」を手に入れるためのお金と考えると、子どものお金に対する見方も変わってきます。

「子ども自身に、目的と金額をプレゼンさせましょう。プレゼンに納得しても、そこですべての金額を渡すのではなく、一部を渡します。たとえば子どもが“そのために、1カ月玄関掃除をします”と約束していたなら、その期間は見守ってあげるのです」(川口さん)

 先に手にしたお金は、「目的のため」「ちょっとしたモノを買うおこづかい」「自分以外の誰かのために使うお金」と分ける習慣を。

「これで“お金を分ける”という概念も身につきます。手にしたお金をすべて使わず、我慢や分散ができることは、将来のお金管理に大いに役立つのです」

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三宅智佳
三宅智佳

NEXT家庭でお金の話をするのがマネー教育の近道
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