2022年、新しい大学がいくつか誕生する。

 福岡県福岡市に令和健康科学大(仮称)が開学する予定だ(設置認可申請中)。大学での「令和」名称、いちばん乗りとなる。

 同大は、学校法人巨樹の会(カマチグループ。系列に病院20、診療所2、助産院1、学校7)が運営する。同会創設者の蒲池真澄氏は、「日本はもっと健康になれる 令和を健康な時代にする大学、はじめます。」と同大ウェブサイトで掲げている。

 元号に関係する大学名は、慶應義塾大以降、明治大・明治学院大・明治国際医療大・明治薬科大、大正大、昭和大・昭和女子大・昭和薬科大・昭和音楽大、平成国際大・平成音楽大・帝京平成大・福山平成大と、しっかり踏襲された。大学にとって、元号はブランド力構築として魅力なのかもしれない。

 22年には大阪公立大が開学する。文部科学省の大学設置認可上では、大阪府立大、大阪市立大が統合し、新しい大学としてスタートする。校名を決めるにあたって、「公立大学大阪」「大阪総合大学」が最終候補に残っていた。「大阪城大」「なみはや大」「森之宮大」などの名前もあがっていた。これは所在地などにちなんだものだ。大阪維新の会所属の府議会議員のなかには、大阪都構想が実現すれば「大阪都立大」に変更するという思惑もあったようだ。「将来は首都大学大阪」という冗談も飛び出したという。

 大阪公立大は英語表記として、「Osaka Metropolitan University」(略称:OMU)を定めた。当初「University of Osaka」だったが、大阪大から抗議を受けている。同大学の英語表記が「Osaka University」で「混同される」という理由からだった。大阪公立大は一歩引いて、大阪大に配慮した形だ。

 22年に名称変更を予定する大学がある。

 稚内北星学園大(北海道)は育英館大と改称する。これは経営者が代わったことによる。稚内北星学園大は長年、定員割れが続いており、経営が厳しかった。そこで、京都を拠点とする学校法人育英館が経営を引き継いで再建に乗り出した。大学の名前は法人名から付けられており、京都市内に育英館大サテライトキャンパスを新設することになった。

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小林哲夫
教育ジャーナリスト 小林哲夫

1995年より『大学ランキング』の編集者。『筑駒の研究』(河出新書)、『学校制服とは何か その歴史と思想』 (朝日新書)、『女子学生はどう闘ってきたのか』(サイゾー)、『旧制第一中学の面目』(NHK出版新書)、『東大合格高校盛衰史』(光文社新書)、『早慶MARCH大激変 「大学序列」の最前線』(朝日新書)など、教育・社会問題についての著書多数。

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