学校法人育英館は、関西語言学院、四万十看護学院、東北育才外国語学校(中国)を運営する。また、系列の学校法人京都育英館として京都看護大、北洋大、北海道栄高校を運営している。

 稚内北星学園大はキリスト教プロテスタント系大学だったが、経営者が代わったことで、ミッションスクールではなくなった。

 21年には、広島県に叡啓大が開学した。読みは「えいけい」である。そして、県立大だ。さっそくSNS上で「読めない名前を大学名にするな」「宗教系みたいで公立とは思えない」といった話で盛り上がってしまう。

 校名の由来、決定経緯について、地元紙がこう伝えた。

――新大学の名称を発表した今年10月の記者会見。中村健一理事長は、その名に込めた思いを解説した。「『叡』の訓読みは『かしこい』。『谷』と『目』が組み合わされた字で、物事を掘り下げて追求し見据えるとの意味がある。そうした力をもって『啓』、つまり新時代を切り開く人材を育てる」。名称は同法人の教職員約10人で構成する準備室が決めたという。4月に検討を開始。新大学のカリキュラムを協議した有識者会議のメンバーにも候補を募った。50余りの案の中に「叡」の字があった。案には含まれていなかったが、新大学の理念に沿った「啓」の字を組み合わせた。(中国新聞デジタル2019年12月20日)

 広島県では19年、県立広島叡智学園が開校した。「えいち」と読み、国際バカロレアを得るための教育プログラムを備えた全寮制中高一貫校である。県教育委員会は同校の名称を公募しており、そのなかから「叡」が採用されている。叡智と叡啓。広島県は教育理念として「叡」すなわち「かしこい」を掲げたいようだ。

 多くの公立大学には「県立」「市立」という名前が入っている。国公立大学と位置づけられることで、ブランド力を保ちたいという思いがうかがえる。そこには「私立よりも上」という優越意識やプライドさえも見えてくる。

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