そうした光景を見て、「今年の夏休みの宿題も……」「昨年度と同じように……」と、前年度踏襲で長年続いてきたのだと思います。(夏休み前になると、たくさんの団体から絵画コンクールの募集案内が届きます。その中から、図工主任の先生が中心になって、子どもたちに描いてもらう絵のテーマを考えています)

がんばって取り組んだ作品の悲しい現実

 「子どもたちが輝く機会になれば……」という思いで、学校としては夏休みの宿題に出しているのですが、悲しい現実があります。

 せっかくの作品を、教室で子どもたちに鑑賞してもらう時間をほとんど取れないことです。始業式の日に子どもたちが持ってきた作品は、すぐに集めて、その日のうちに放課後に図工室に持っていきます。

 そして、テーマごとに作品を置いたり、名簿を作ったりします。本当はせめて2週間ぐらいは、教室に掲示して子どもたち同士で作品を見合う時間をとりたいというのが担任としての気持ちです。担任としても、もっと1人ひとりの子どもの作品を見て、ほめたいです。でも、コンクールの提出期限があります。1年生から6年生までのたくさんの作品を、1人でとりまとめる図工主任の先生の仕事の段取りもあります。

 貯金箱と読書感想文は、せっかく取り組んでも全ての子どもたちの作品がコンクールの審査員に見てもらえないというのも担任として悲しいことです。学校からコンクール先に送る作品数が決まっているので、校内審査をして出品することになります。もちろん、コンクール入賞だけが目的ではありませんが、せっかくがんばって取り組んだ作品を見てもらいたいという思いがあります。作品数が多いので仕方がないことなのですが……。

子どもの作品に、親の手が入ってもいいの?

 子どもたちが出す絵や貯金箱、読書感想文の中には親御さんの手が入っていると感じることもあります。このことを教師になったばかりのころは、批判的に思っていました。

 でも、実際に自分が親になってみて、「子どもだけでは、できない!」と痛感しました。

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