冬の印象が強い感染症ですが、夏にかかりやすいものもあります。特に注意したい「子どもの3大夏風邪」の予防や対策について、小児科専門医の横井健太郎さんに伺いました。コロナ禍を経た今だからこそ気をつけたい「感染時期の変化」についてのお話も。子育て情報誌「AERA with Kids 2025年夏号」(朝日新聞出版)から紹介します。
【図】子どもの熱中症、症状のチェックリストはこちらたまった疲れで体調を崩しやすい初夏
夏、子どもは体調を崩しやすくなります。その理由について、横井健太郎さんはこう話します。
「4月は入学式や進級があり、お子さんにとっても環境の変化が激しい時期です。続く5月は生活が少し落ち着いて、ゴールデンウィークもあるのでリフレッシュできます。ところが、6月は祝日がないためお子さんの心身が落ち着くタイミングが減ってしまいます。さらに、気温と湿度が一気に上がり、体が暑さについていけず、新学期以降の疲れもあいまって体調を崩しやすくなります」
子どもは体温が上がりやすく、体温調整が苦手
体が次第に暑さに慣れて体温調節がスムーズになっていくことを「暑熱順化(しょねつじゅんか)」といいますが、子どもは汗をかく機能が未発達で体温が上がりやすく、順化が苦手なのだそうです。
それでは、子どもの体調管理と向き合う際、親が気をつけたいことは何でしょうか?
「子どもは遊びや運動に夢中になりやすく、また自分の体調不良をうまく言葉にできないことも多いです。『頭は痛い?』『気持ち悪さは?』など、親御さんが具体的にヒアリングすることが大切です」
夏風邪は発疹を伴うこともあるのが特徴
子どもが夏にかかりやすいと言われている感染症は、手足口病、ヘルパンギーナ、咽頭結膜熱(プール熱)などの夏風邪で、いずれも高熱のほか、発疹を伴うこともあるのが特徴です。いずれも、適切な水分補給や解熱鎮痛剤などで経過観察が可能ですが、症状が似通っていることも多く、すぐに診断がつかない場合もあります。発熱に加えて発疹や、のどや口の強い痛み、目の赤みなどがある場合は、かならず受診しましょう。
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