1年前に家族の拠点を関西に移したのも、そういう価値観の中で子どもを育てたいと感じたから。将来大人になったときに幸せな時間を過ごせるように、今は好きなことこそ手を抜かずに一生懸命やりなさいと子どもには伝えています。妻も小さいころ、「勉強は大変なことだから楽しく、バイオリンは楽しいことだから厳しくやりなさい」と先生から言われていたそうです。

――お二人は東大卒、京大卒のご夫婦です。お子さんの教育については、どのように考えていますか?

「東大卒、京大卒のお子さんなら、将来はハーバード大ね」なんて言われることもあるのですが、はっきり言って勘弁してほしいし、余計なお世話だなと思っています(笑)。学歴については僕も妻もあまり重視はしていません。学歴はゴールではなく、人生の一要素。誤解を恐れずに言えば、学校の勉強や学力といったものは、後から変えられるものだと思っています。

 何が何でも現役で東大医学部に行きたいとなると話は変わるかも知れませんが、そうでなければ、自分の目標が定まってからそこに向けて頑張れば、いくらでも取り返しはきくものです。もちろん人より時間はかかってしまうかもしれませんが。そもそも「学ぶこと」は、点数や偏差値を上げることではなく、生きることそのもの。生きている限り、人は何かを学び続け、学ぶことが楽しければ、生きることも楽しくなります。

 わが家の子どもたちにも、楽しく学べることにたくさん出会ってほしいし、いろいろなことを吸収しながら生きることを楽しんでほしいですね。いつか大人になったとき、自分の人生や自分という存在を肯定できる人になってくれたら、うれしいです。

仲睦まじい清水一家(提供)
仲睦まじい清水一家(提供)

「敢えて一緒にいる」夫婦でいたい

――夫婦の意見が食い違った場合は、どうしていますか?

 とにかくたくさん話をするので、もちろん僕と妻の意見が一致しないこともあります。夫婦なので、最終的には意見を合わせて方針を決めていかければならないんですが、初めの段階では意見が違っていてもいいんですよ。妻と意見が食い違ったときに僕が心がけているのは、結論ありきで話さないこと。自分の考えを伝えながら、相手の意見もしっかり聞いて、対話の中で結論を探すことが大切だと思います。

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