国語の読解問題が苦手で、長い文章が読めない娘　困る母に中学受験のプロが「読解力が上がる方法」をアドバイス

安浪：私は文章を読むのが苦手なお子さんには親御さんと子どもで一文ずつ読み合う「交互読み」を提案することもあります。無理に読ませるんじゃなくて、どうやったら「読みやすくなるか」を一緒に考えることが、親としてできることかなと思います。

最初は子どもの興味のある内容の文章からスタート

矢萩：僕は100字から200字ぐらいの短文を作って、その中から指示語の内容を答えさせる自作の問題を作ることもあります。指示語の内容もまずはそのまま書き抜きだけで答えられるものを何個かやった後、要約しないと指定した文字数内に収まらないバージョンをやらせてみたり、2ヶ所を組み合わせなければいけないバージョンをやったり。そういうことをちゃんと戦略的に何回かやっていくと多少長文になっていても、読めるようになってきますね。

安浪：自作の問題とはすごい。テーマはどんなところから作るんですか？

矢萩：日々のニュースの内容だったり、僕は生徒たちの趣味趣向や興味を知っていますから、最初はそれに合わせたりします。ただ、慣れてきたら、あえて子どもが興味がなさそうな科学や数字がたくさん入った文章を作ることもあります。自分が興味がある文章だったり、物語だとサラッと読んでも内容は頭に入ってきますが、興味がない文章だとしっかり読み込まないと例え短文でも指示語が何を指しているのか分からないので、トレーニングになるんですよ。

安浪：なるほど。それって多分私が算数でやる「繰り上がりの足し算／繰り下がりの引き算」の基本的なトレーニングをやるイメージかもしれませんね。そういった基礎的なことは塾でやってもらえないので、なんとか家庭で基礎を埋めていかないといけないところが難しいところですが、やるしかない。

矢萩：本当にそうですね。塾の教材って、最初からある程度できる子向けに作られているんです。だから、基礎力がない子は最初からつまずいてしまう。僕がやっているのは、そういう子の足元にはしごをかけるイメージなんです。最初の段差をできる限り小さくすることで、やってみようと思ってもらうことが大事です。一段上がってしまえば、そこから先、急に上がりやすくなるのが国語の特徴ですね。

（構成／教育エディター・江口祐子）

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中学受験専門カウンセラー/算数教育家 安浪京子

やすなみ・きょうこ／「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』（朝日新聞出版）が好評。最新刊は佐藤亮子さんとの共著『中学受験の意義　私たちはこう考えた』（朝日新聞出版）。オンラインサイト「中学受験カフェ」主宰。

中学受験塾塾長 矢萩邦彦

やはぎ・くにひこ／「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』（ダイヤモンド社）『新装改訂版　中学受験を考えたときに読む本　教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』（二見書房）。