短い文章を要約するトレーニングを繰り返す

安浪:このお母様、娘さんに本を読ませようと必死になっているようですが、今、塾のテキストで文章に触れているのであれば、それで十分かな、という気もします。塾の国語のテキストっていい文章がたくさん載っていますし。

矢萩:そうそう。じゃあ何ができるかというと、僕がまず見るのは「極端に短い文章を読めるかどうか」です。100字、200字くらいの本当に短い文章。それに対して要約や問いかけをしてみます。

矢萩邦彦さん

安浪:なるほど。段落ごとに「ここには何が書いてあったのか」をまとめる練習ですね。

矢萩:そうです。要するに、読解ができない子って「今読んだ内容を把握して、圧縮しながら読み進める」ことができていない。だから、次の段落に行っても、前の内容が頭に残ってないんです。ですから、まずは短い文章でその練習をします。

安浪:もしそれも難しい場合は、どうしたらいいですか?

矢萩:その場合は、自分で書いた文章を要約させるんです。「日記でも何でもいいから自分で書いて、それを短く要約してみて」と言ってみる。自分で書いたことなら意味がわかってるので、まとめることができるんですよ。

安浪:それは面白いトレーニングですね。文章を要約する力は本当に大事ですもんね。

矢萩:そうなんです。これって受験だけの話だけじゃなく、大人になってからも絶対に必要な力なんです。この力がないと人生においても確実に損をするし、困る場面も出てくるので、今のうちにやっておきましょう、ということなんです。

安浪:「一度読んだ文章を読み直すのに抵抗がある」と書かれていますが、そういう子っていますよね。「もう読んだじゃん、なんでまた?」って。

矢萩:それって、実は内容に到達していないんです。つまりただ「読まされた」だけで、中身には興味がない。だから、「二度読むのは無駄」「一度読んだらもう終わり」というロジックになってしまう。

安浪:今の子どもは動画世代ですし、そういう子は今後もっと増えてくるでしょうね。

矢萩:僕のところにもそういう子がたくさん来ます。読むことに慣れていない。でも、焦って無理に読ませるのではなくて、地道にトレーニングしていくと、5年6年でグッと伸びるんです。

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