僕が考えた「ほったらかし受験」は入試本番が近づく5年生、6年生の段階で、親があれこれ面倒をみなくてもいい状態、つまり子どもが勝手に勉強してくれる状態にすることです。「ほったらかし受験」とだけ聞くと「親が一切の手助けをしない受験」と思われるかもしれませんが、決してそうではありません。5年生以降の「ほったらかし」に備えて、4年生までは国語や算数などの勉強はもちろん、間違えた問題の復習方法、わからないことの調べ方といったスキルもしっかり教えましたし、朝の勉強習慣を身につけるためのスケジュール管理も徹底しました。
――自分自身で勉強を進める「自走力」を鍛えたんですね。
自走力の定義はいろいろあると思いますが、中学受験で必要な自走力は、決まった時間になったら勉強を始めて、自分の力で教材を読んだり、問題集に取り組んだり、正しい方法で丸つけや復習ができることだと僕は思っています。一方で、教材選びや苦手分野の見極め、各教科の理解度に合わせたスケジュールの微調整など、一定の判断が伴うことは、子どもに任せず親が担当すべき。受験に必要な自走力を上回る「主体性」まで小学生の子どもに求めることには、無理があります。
親がすべて教えなくていい
――たとえ4年生までであっても、中学受験の勉強って、親が教えられるものなのでしょうか?
親が全てを教えられなくても、いいんです。僕だって、何から何まで自分で教えたわけではありません。例えば理社は、わかりやすい解説動画がYouTubeなどにたくさんあげられているので、よく利用していました。
国語の記述問題は、小学生には難しくても、大人であれば理解できるものも多いですし、みなさんが一番心配であろう算数も、解説を読めば案外なんとかなります。問題が解けなくても、解説を読んで理解できれば、説明はできるものです。
子育て論は全スルー
――情報収集はどのようにしていましたか?
インターネットやSNSなどを使えば、必要な情報はほぼ手に入ります。ただそのぶん、情報の取捨選択は必要だと思います。何が必要かを見極める基準は人それぞれでしょうが、うちの場合は、勉強法や教材など、勉強に直結する具体的な情報は参考にして、「頭のいい子の育て方」とか「子どもをやる気にする声かけ」のような子育て論的な話はほぼ全スルーしました。そういうことは、それぞれの家庭環境や親子関係によっても違うものですからね。
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