もし、友だちが不登校になったら、どう接すればいいのでしょうか。不登校ジャーナリスト石井しこうさんは、「不登校の私が、どうしたら生きていけるのか」をテーマに、同じように不登校になった人や保護者など、これまで400人以上に取材をしてきました。石井さんの著書「学校に行かなかった僕が、あのころの自分に今なら言えること」(大和書房)から紹介します。

どうしてあげるのがいいですか? 友だちが不登校をしています

 友だちが学校へ来なくなったり、休みがちになったりしたときはどうしたらいいでしょうか。声をかけるべきなのか、逆に声をかけないほうがいいのか。修学旅行なら誘ってもいいのか、悩ましい問題です。

 友だちならば、心配で声をかけるのは自然だと私は思うのです。遠慮せずに連絡してください。行きしぶりや不登校の理由も聞きたければ聞いてもいいですし、自分がいっしょに行きたければ「修学旅行へ行かない?」と誘ってもいいでしょう。

 なお、不登校理由を聞くことや催促は「状況や背景をよく考えてから」というのが支援者の鉄則なのですが、友だちどうしの場合は、そんなものは関係ありません。友だちどうしには、支援者と対象者という関係性では、とうてい越えられない 「特別な信頼関係」 があるからです。

 ただし、本人は傷ついているので3つ、守ってほしいことがあります。

1つ: 本人がいやがることはやめてください。
 学校へ来るのをいやがっていたら「学校へ来てよ」としつこく誘うのは人としてよくありません。嫌いな食べ物をムリに食べさせるのと同じ行為です。

2つ:こちらの呼びかけに返事がなければ、それは「返事ができない状態だ」と理解してください。
 LINEやチャットで「今度、遊びに行っていい?」などと連絡をしても返事がないこともあるでしょう。それは「YES」とも「NO」とも言えず困っている状態なのです。しばらく返事がなければ「気にしないで」と言って、誘いを取り下げてください。想像しづらいかもしれませんが、人は傷つくと判断するのが難しくなるのです。

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石井しこう
石井しこう

1982 年東京生まれ。不登校ジャーナリスト。中学校受験を機に学校生活が徐々にあわなくなり、教員、校則、いじめなどにより、中学2年生から不登校に。同年、フリースクールへ入会。19歳からはNPO 法人で、不登校の子どもや若者、親など400 名以上に取材を行なうほか、女優・樹木希林氏や社会学者・小熊英二氏など幅広いジャルの識者にも不登校をテーマに取材を重ねてきた。現在はNPO を退社し不登校ジャーナリストとして講演や取材、「不登校生動画甲子園」の開催などイベント運営などでも活動中。「Yahoo!ニュース 個人」月間MVA を二度受賞。著書に『「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること』(ポプラ社)、『フリースクールを考えたら最初に読む本』(主婦の友社)などがある。

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