上手く誘えず、夫に拒否されたこともあって、思いつめていきました。体外受精などの方法もあったのでしょうが、お金もかかるし気持ちの上でも大変。体のことと子どものことを切り分けて解決できたらいいのに、と思っていました。

――焦る気持ちもあったとか。

 妊娠できる日って、1カ月の中で数日ぐらいしかない。そして、「子どもが欲しいと思っている日々」のなかで、今が一番若い。若いほうが妊娠できる確率が高いのなら、できるだけ早く妊活したい。

 排卵日とは何かも、夫はきちんと理解していませんでした。そんな妊娠への知識の差も、夫と私との考えの溝が埋まらない原因でした。

 妊活のためのアプリでチェックして、「排卵日だ」「妊娠しやすい時期だ」となると、私は「今回こそ絶対に!」と焦る気持ちがあるのですが、ぽちおはそう言われると萎えるというか、プレッシャーがかかってできない……。「眠い」と言われることもありました。「私の体は待ってくれないのに」と、私だけ焦る。排卵日が近くなると、毎回、そんな感じでした。

――女友達にも相談されていたそうですが、抵抗はなかったですか?

 幼なじみの友人たちにレスのことを相談していましたが、お互いに嫌なことは言わず、集合してお茶をしながら、ワーッと喋って「いろいろあるよね」という感じでおわる。だから、抵抗はなかったです。「デートでよく行くのはスーパー」「最近、旅行も行っていない」と友人たちに言うと、「マンネリ化しすぎた状態はやばい」と忠告されました。「結婚記念日に旅行に行ってくれば?」とアドバイスされました。

 この時の友人たちとの話とは関係ないのですが、ある日、ぽちおに誘われて旅行に行くことになりました。レス解消に動き出して半年後ぐらいのことでした。そこから少しずつ関係が変わっていきました。

後編へ続く

(取材・文/永野原梨香)

【後編】「レス歴5年」の夫婦が子どもを授かれた“きっかけ”とは 夫婦の葛藤を描いた漫画家が息子を出産するまで
結婚してから同じ布団で寝てません (はちみつコミックエッセイ)

小池ぬーみん

結婚してから同じ布団で寝てません (はちみつコミックエッセイ)
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永野原梨香
永野原梨香

ながのはら・りか/『週刊エコノミスト』、『AERA』『週刊朝日』などに勤務し、現在、フリーライター。識者インタビューのほか、マネーや子育てをテーマに執筆中。

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