そんななか、Xでの投稿をきっかけに、『「ゴキブリ」嫌いだったけど ゴキブリ研究はじめました』という本を知った瀬谷さん。著者の柳澤静磨さんは、新種のゴキブリを何匹も発見している新進気鋭のゴキブリ研究者です。

 購入して瑠香さんに手渡すと、あっという間に夢中になり常に持ち歩くようになりました。お正月に瀬谷さんの実家へ帰省した際にも本を持参し、親族から「その本、どうしたの?」と驚かれたそうです。

 柳澤さんの本によると、ゴキブリは世界に4,600種以上、日本には64種(2022年7月時点)が生息しており、見た目や生態も実にさまざま。家で見かけるような黒くて素早く動く種類は、そのほんの一部にすぎないとのこと。「ミドリバナナゴキブリ」や「ドミノゴキブリ」など、ユニークで愛らしい見た目の種類もいるのだそうです。

 ペットとしても飼いやすく、成虫も幼虫も同じ環境で飼うことができ、果物の皮や野菜くずなど何でも食べてくれるため、カブトムシやクワガタより手間がかかることもないのだそうです。

 当初、瑠香さんは「ミドリバナナゴキブリ」を飼いたいと言っていました。しかし、Xでつながった柳澤さんから「ものすごく飛ぶので飼育がかなり大変です。最初は脱走しにくい種類の方がおすすめです」とのアドバイス。それを聞いた瀬谷さんも「たしかに! 逃げたら私が困る」と納得したといいます。
 
 その後、瑠香さんの希望で、柳澤さんが副館長を務める「竜洋昆虫自然観察公園」で開催された「ゴキブリ展」にも足を運びました。世界中から集められたおよそ50種の生きたゴキブリを熱心に観察し、特別にゴキブリ飼育室で世界最重量のヨロイモグラゴキブリを持たせてもらった瑠香さん。ゴキブリの図鑑や標本のつくり方の本もさらに入手して読みふけるようになりました。

昆虫館のゴキブリ展で。瑠香さんと柳澤静磨さん

誕生日にゴキブリと腐葉土をおねだりされ……


 とはいえ、実際にゴキブリを手に入れるのは簡単なことではありませんでした。3か月ほど公園などでも探しましたが、冬だったため見つけられず。お正月に帰省した群馬で奇跡的にゴキブリの幼虫を見つけましたが、東京につくころには死亡してしまいました。
 
 そんななか迎えた瑠香さんの誕生日に、「ゴキブリとゴキブリの住みかづくりに使う腐葉土をプレゼントにリクエストしてもいい?」と瑠香さんからたずねられました。

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