とりあえず、ネットのオークションサイトを見てみることにしました。ネットオークションでの生体販売には、外来種の拡散や生態系への影響など、環境保護の観点から注意すべき点もあります。
「命を扱うこと、途中で飼育に飽きたりしないかなど、事前に娘と話し合いました。娘が『こういう準備をして責任を持って最後まで育てる、飼育するゴキブリがもし逃げて野に放たれたら生態系に影響が出てしまうから脱走対策はこういう方法にする』と自分で考えを伝えてきたので、飼育を認めることにしました」

まるでダンゴムシ? 「ヒメマルゴキブリ」を飼ってみる
オークションサイトには、マダガスカルゴキブリやニジイロゴキブリなど、見た目もユニークな種類がずらりと並んでいました。
その中で瑠香さんが選んだのは、鹿児島県以南の森に生息する「ヒメマルゴキブリ」。体長は1センチほどで、メスはまるでダンゴムシのように丸くなる習性があります。柳澤さんの本でも紹介されており、オスとメスが全く違う姿であることや、本当にメスが丸くなるのかなど、以前から気になっていたそうです。
さっそく飼育ケースの環境を整え、ヒメマルゴキブリを5匹取り寄せることにしました。ケースの内側にはワセリンを塗るなど、脱走防止の対策も施しました。
「あるとき娘がメロンの皮をあげたら、5匹が集まって一緒に食べていたんです。その姿にはちょっとだけ愛着がわきましたね」と瀬谷さんは話します。
やがて、購入前に交尾していたらしい1匹のメスから、幼虫が誕生しました。しかし、温度や湿度の管理が予想以上に難しく、加えて家のリフォームと仮住まいへの引っ越しが重なり、繁殖することなく寿命とともにすべてのゴキブリが死んでしまいました。繁殖が難しい種類ということをのちに知りました。
「何がよくなかったのかな、生き物を育てるのって難しいんだなって思いました」と、少し寂しそうに話してくれた瑠香さん。
