「『ゴキ〇リを飼いたい』と言う娘。親としての器の大きさが試されている――」。2023年冬、Xにこのような投稿をしたのは、認定NPO法人REALs(リアルズ)理事長であり、紛争解決のプロとして知られる瀬谷ルミ子さん。瀬谷さんの娘・瑠香さん(小学6年生)が現在、夢中になっているのは、なんと「ゴキブリ」。ゴキブリは大の苦手という瀬谷さんは、どのように娘の興味に向き合い、応援することにしたのでしょうか。自宅を訪ね、お話を伺いました。※後編<「いつかゴキブリを食べてみたい」 ゴキブリへの興味をどんどん広げる小6娘と、戸惑う母に話を聞いた>に続く
【苦手な方は注意!】瑠香さんが飼育するゴキブリたち、スマホの待ち受け画像などはこちら(全7枚)ゴキブリの生命力の強さに惹かれ、心射抜かれて
瑠香さんがゴキブリに興味を持ったのは、小学3年生のとき。教室でゴキブリが出て、先生がつぶすのを目撃し、「ちょっとかわいそう」と感じたことがきっかけでした。
その後、授業の空き時間でたまたま見た動画に心を奪われます。ゴキブリは恐竜が生まれる2億6千年前から生きていて、何も食べなくても数日間生きのびられる。その驚異的な生命力に惹かれ、「ゴキブリってすごい!」と強く興味を持つようになりました。そして、「ゴキブリを飼ってみたい」と瀬谷さんに打ち明けたのです。
一方、「もし家で見かけたら、一瞬で仕留める」と断言するほどゴキブリが苦手だったという瀬谷さん。娘の気持ちを、どのように受け止めたのでしょうか。
「私自身、人と違うことに興味を持つのは、いいことだと思っています。それに娘が、多くの人に嫌われるゴキブリに興味を持つなんて、おもしろいなと思いました」
瀬谷さんは内心かなり戸惑いながらも、「なぜ、飼ってみたいと思ったのか」理由を尋ねて、娘の本気度を確かめることにしました。
すると瑠香さんからは「大昔からほぼ姿を変えず生き延びていて、食べ物がなくても水だけで3週間生き延びられると知って興味を持った。飼育して何を食べるのか観察したい」という答えが返ってきました。これには瀬谷さんも「予想よりまともな答えが返ってきた」と思ったのこと。瑠香さんが納得できるような理由を説明するのは難しいとも思ったそうです。
ゴキブリ博士との出会いで、さらに興味が加速
せっかく芽生えた娘の興味を否定はしたくない。けれど、先回りしてゴキブリを差し出すのは、少し違うとも感じていた瀬谷さん。そこで、しばらく様子を見ることにしました。瑠香さんは、週末になると公園の落ち葉の下などゴキブリがいそうな場所を探すようになりました。