おすすめポイント

 シャルル・ペロー原作「シンデレラ」を振り返りながら、全く新しい「シンデレラのその後」の物語を楽しめます。みんなが知っている昔話ですが、表情豊かな挿絵のお姉さんたちが落ち込んでいるところを見るとちょっぴりかわいそうな気持ちに。2人は本当にいじわるなの? どんな人たちなのだろう? と想像がふくらみます。

『シンデレラのおねえさん』(おくはらゆめ 作・絵/光村図書出版 刊)

 お姉さんたちが腹いせにはじめた「こんなシンデレラはいやだゲーム」は、写真を撮るときはひょっとこ顔で、はなくそがしゃべるシンデレラ!?……「王子さまはすぐに、あいそをつかしますわ」と言い合うお姉さんたち。いいかげんでとぼけた悪口に笑っちゃいます。そんなことを言っても気が晴れないことも、シンデレラが本当はやさしい子だということも、お姉さんたちはわかっているのです。

 継母は相変わらずいじわるなことを考えていますが、「じい」が言うには、過去に悲しい出来事があったせいだとか。

 一方、公園でお姉さんたちが出会った、ごきげんなおばさんは、「どくしんも、気楽で楽しいわよ」とにっこりしています。「どくしんって、何だったかしら?」「おかあさまは、けっこんはすばらしいものって言うけど」「しあわせって、何なのかしら」とお姉さんたちが野原にねっころがって話すところは、なかなか哲学的。人間の内面や、本当の幸せについて考えさせられます。

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