だからこそ、意識して「待てる時間」を作ることが大事なんです。

 たとえば夜パジャマに着替えるとか、歯みがきをするとか、そういうときは多少時間に余裕がありますよね。そのときだけでも、待ってあげるといいと思います。

「自分でできた!」っていう達成感は自信と幸せを生み出してくれます。そして「次もがんばろう」という挑戦心を育ててくれるんです。

――子どもを見守っていると、ついつい手出し口出ししたくなるのですが……。

 「見守る」って「じーっと見ている」っていう意味ではないんです(笑)。放っておいていいんですよ。公園など家の外にいるときは見ていなくちゃいけませんが、安全な家の中なら好きにやらせていればいい。それで「ママー! パパ―!」って呼ばれたら、そのときは寄り添って支えてあげてください。

 Watch me do it myself !(自分でやるのを見ててね)。ほどよい距離感で見守ることが大切だと思っています。

思春期こそ、信じて見守ることが重要

――久保さんの2人のお子さんは今16歳と23歳ですが、モンテッソーリ教育は久保さん自身の親子関係にも役立っていますか?

 もちろんです。とくに次女は今思春期なので、ホルモンの変化でイライラしたり悲しくなったり、怒りっぽくなったりすることが日常的にあります。でも私自身がモンテッソーリ教育を学んで、認知学・脳科学の観点から、それが次女の成長の過程であると理解できます。

 だから次女の感情に振り回されることはないですし、「今は触れない方がいい」と思えばそっとしておきます。そういう見守り方ができるのもモンテッソーリのお陰です。

――思春期やプレ思春期の子にも、見守りが大切ということですね。

 夫婦でも友だちでも「ここから先は踏み込んでほしくない」っていう境界線があると思うんです。それは親子でも同じ。どんなに小さくても、子どもは一人の人間です。その人間力を信じて見守りたいと思っています。

困ったときに相談してもらえる親になる

――本当に困ったことがあって、言い出せないでいる場合もあるかもしれません。上手に聞き出す方法はありますか?

次のページへ「今日、楽しかったことを5つ教えて」
1 2 3 4