大事なことは、ふだんから楽しいことも悲しいことも話せる土台があるかどうか。

 夫婦でもそうですよね。普段何も話さないのに、突然悩みを相談することはできません。

 わが家の場合、食事のときには1時間でも1時間半でもおしゃべりしているんです。テレビを消して、向き合って話すように心がけていました。

 私は娘が小さいころから「今日、楽しかったことを5つ教えて」と聞いていました。漠然と「今日はどうだった?」と聞くと、「べつに~」と言われちゃうので、具体的に質問することにしたんです。先に「楽しかったこと」を聞き、そのあとで「いやだったこと」を聞きます。

「猫がいて、かわいかった」とか、「忘れ物して叱られた」みたいな話を毎日することで、重いことも話しやすくなるのかもしれないと思っています。

――親子の会話は、今も続いているのですか?

 次女は高校生になって勉強が忙しくなっているので、ゆっくり食事の時間がとれないことも増えました。だから、ときには「話題のパンケーキ屋さんに行こうよ」って誘いだすこともあります。毎日話すのは難しくても、できる限り話す機会を増やさなくちゃ、と思っています。

 親子関係は自然に形作られるものではなく、意識して築いていくものですから。

(構成/神 素子)

元NHKアナ・久保純子に聞くアメリカでの子育て「16歳の娘は、私が子どもだったころと比べると圧倒的に大人」
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神素子
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