「大変だったけれど、なんとかなった」がチャレンジする力へつながる

 慣れない旅先でのトラブルは、親自身も戸惑います。でも、そんなときほど落ち着いて状況を捉え、起こったことを嘆くのではなく、限られたなかで最善を尽くす過程を、子どもと共有しましょう。家族で力を合わせ乗り越えた体験は「大変だったけれど、力を合わせてなんとかなった」というプラスの記憶として刻まれ、失敗を恐れずチャレンジする力へとつがなります。

 先の事例では、旅の計画を親子一緒にしていたこともあり、不安よりも「なんとかしなくては」と、息子が「自分事」として捉え、行動できたのもよかったのでしょう。その後何年も「あのときは大変だったね」「でも僕が聞いた情報でたどり着けたよね」と繰り返し家族の話題に上る、息子の武勇伝となりました。

まとめ

 旅のトラブルへ対処を重ねることで、環境への適応力も備わります。実体験からの学びは、人生の大事な場面や、つまずいたときに礎となるタフな心を育みます。年が明けると、受験シーズンがスタートしますが、私は旅育の中で、受験に一番役立ったのは「タフな心」だと感じます。特に中学受験ではメンタルが大きく影響し、慣れない環境やいつもと違うささいなことが気になり、実力を発揮できないケースもあると聞きますが、我が家はその心配は不要でした。

 中学受験初日の朝、子どもたちが不安そうに保護者と離れ受験会場へ向かうなか、スキップをしながら振り返ることなく会場へと消えていった我が子の後ろ姿が、十数年たった今でも忘れられません。「トラブルに負けず、なんとかする」「困難をも楽しむ」、そんな気持ちのタフさは、変化の激しい時代を自分らしく生きるための、大きな助けとなるに違いありません。

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