子どもの学び(ラーニング)と保護者の休暇(バケーション)を組み合わせた子どもの新しい学びスタイル「ラーケーション」が、じわりと全国に広がってきています。2023年9月から愛知県が全国で初めて導入した制度で、自主学習活動は学校に登校しなくても欠席扱いにはならないというもの。子ども時代の豊かな体験の重要性は、保護者の間でも理解が広がってきて、ラーケーションの有無にかかわらず平日に家族旅行へいく家庭も多くなってきましたが、それには懐疑的な声も。ラーケーションの現在や、平日に学校を休むことの是非について専門家らに聞きました。

MENU 全国に広がりつつある「ラーケーション」 「この時間が続けばいいのに」娘の言葉で行動を変えた 「仕事の都合で難しい」保護者が23% 「ラーケーション制度」、課題は? 「家族旅行で学校を休む」 それっていいの?

全国に広がりつつある「ラーケーション」

「ママが一緒に公園で遊んでくれるって何年ぶり? この時間がずっと続けばいいのにね」

 そう言って見上げる10歳の娘の言葉に、「ぐっときた」と話すのは茨城県に住む40代女性です。経営者という仕事柄、土日も仕事になることが多く、土日に子どもの習い事が入ることも。平日は学校で目一杯がんばってくる子どももくたくたで、土日にお出かけするのは混雑している人気スポットばかり。「気付けばゆっくり過ごす親子の時間を持てていなかった」と女性は振り返ります。

 昨年9月、愛知県(名古屋市は除く)が全国で初めて導入した「ラーケーション」。ラーニング(子どもの学び)+バケーション(保護者の休暇)の造語で、愛知県が推進する「休み方改革」プロジェクトの一環で生まれた制度です。子どもが平日に学校を休んで保護者らと一緒に過ごし、学校ではない場所で興味のあることを体験し、探究して学びを深めようという画期的な取り組みで、欠席扱いにはなりません。愛知県は年3回までで、分散して取ることも、連続して取ることもできます。このラーケーションの動きが全国にじわりと広がり、2024年11月現在で愛知県(年3回)、茨城県(年5回)、山口県(年3回)のほか、大分県別府市、栃木県日光市、沖縄県座間市など、県や市町村単位で拡大してきています。

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大楽眞衣子
大楽眞衣子

ライター。全国紙記者を経てフリーランスに。地方で男子3人を育てながら培った保護者目線で、子育て、教育、女性の生き方をテーマに『AERA』など複数の媒体で執筆。共著に『知っておきたい超スマート社会を生き抜くための教育トレンド 親と子のギャップをうめる』(笠間書院、宮本さおり編著)がある。静岡県在住。

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