おすすめポイント
お姉ちゃんの悪口なら10個どころか、20個でも30個でも言えそうだと意気込むサキですが、実際に悪口を言っていくうちにお姉ちゃんのいいところを少しずつ思い出していきます。サキをからかう男の子を怒ってくれたり、サキが指を怪我して泣いていたら絆創膏を貼ってくれたり。時には強くてやさしいお姉ちゃんであることに改めて気づいて、しまいには悪口がなかなか出てこなくなってしまうサキ。一時的な感情で「おねえちゃんなんか、だいきらい」と怒っていても、お姉ちゃんのことを完全には嫌いになれません。サキの揺れ動く気持ちがていねいに描かれていて、きょうだいがいる子もいない子もサキの気持ちがよくわかるはずです。
きょうだいや家族、仲良しのお友だち……、いつも近くにいる存在だからこそ、嫌いなところや面倒くさいところもあるし、好きなところや尊敬できるところもある。「好き」「嫌い」どちらの気持ちもひっくるめての関係でいいんだと思わせてくれます。一時的なものとはいえ、「好き」「嫌い」といった相反する気持ちを抱えることは、小さいうちは戸惑いをおぼえるかもしれません。でも、そうした葛藤は心の成長につながります。身近な存在に対する複雑な気持ちのありようを教えてくれる一冊です。
さっきまではあんなにお姉ちゃんに対してぶつくさと悪態をついていたのに、いざ「のろいアメ」ができあがってしまうと、サキはお姉ちゃんが食べてしまったらと心配し始めます。果たして、お姉ちゃんは「のろいアメ」を食べてしまうのでしょうか。「のろいアメ」の行方は読んでからのお楽しみですが、その仕上がりの味にもぜひ注目して読んでみてください。
悪だくみをする魔女がちょっと抜けていて、憎めないキャラなのも本作の魅力の一つです。魔女の若かりし頃のおはなしや意外な一面が垣間見られる場面もあるので、シリーズを通して読むとさらに楽しめますよ。
次のページへどんな子におすすめ?