大手玩具メーカー「タカラトミー」が6月、子ども1人の出生につき、200万円の出産育児祝い金の支給と、育児休業中や短時間勤務の社員の業務をフォローする社員への手当「休業・短時間勤務応援手当」の支給を発表し、話題となりました。思い切った制度を導入した背景や、込められた思いについて、人財戦略室DEI(Diversity Equity Inclusion)推進部部長の中村真樹さんに聞きました。
【写真】社員の家族が会社に集合!タカラトミーの社風を表すイベントはこちら(全3枚)――出産育児祝い金の中身を教えてください。
子ども1人の出生につき、200万円を支給します。出産費用や養育費の補助を考慮し、200万円としました。一方で、家族手当のような仕事や成果に関わりの薄い属人的な手当は廃止します。ただ、これまで支給されていた社員の不利益にはならないよう、基本給の中に手当を包含しています。
お祝い金の支給は当社社員または配偶者が出産した場合が対象。養子や婚外子の場合も支給します。ただし、28日以上の育児休業取得が条件です。
社員からの反響は?
――出産育児祝い金には、社員からの反響も大きかったのでは?
事前に行ったヒアリング調査では高評価ではありましたね。お祝い金について報道で知ったある社員の親御さんからは「いい会社ね!」と電話があったそうですが、若い社員には、まだ実感がないようです。
――男女問わず支給の対象としているのには、男性の育児休業促進の狙いもありますか?
はい。当社の男性の育休取得率は年々上がっており、22年には80%、23年には100%。一人が取れば次も取りやすいという好循環になっていくので、それがうまく機能してきたかな、と思います。
一方、従業員へのヒアリングでは、育休取得率が100%とはいえ、どうしても「育休を取ることが人事評価や昇格に不利益になるのではないか」との不安の声が寄せられていました。その点は、昨年、私の上司にあたる人事部門の男性管理職が育休を取り、体験談を社内向けに動画配信したことで「人事評価に影響はない」と再認識してもらえた面があったかなと思います。動画では、私の上司と、別の部署で男性の部下が育休を取った部長とが対談し、育休時の業務の引き継ぎをどのように行ったかなどを話してもらいました。
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