1970年代、中学、高校ともに制服は廃止された。灘、麻布、教附など名だたる進学校が同じころ、私服通学が認められている。

 1978年、東京教育大が筑波大に引き継がれて、教附同様、教駒は筑波大学附属駒場高校(筑駒)となる。

 教駒、筑駒OBには学者が多い。早稲田大総長を2代続けて生み出している。白井克彦(1958年卒)、鎌田薫(1966年卒)だ。元・立教大総長の吉岡知哉(1971年卒)もいる。

   東京大副学長をつとめた石井洋二郎(1970年卒)は国立大学の行く末を案じ、こう警鐘を鳴らす。

「東大は『国立』大学であって、『国策』大学ではありません。そして本学が拠って立つところの「国」とは、あくまでも国民全体のことであるはずです。もし国策に疑問があれば、率直に議論を戦わせ、誤りがあれば毅然としてこれを糺すことが国立大学に託された本来の使命でしょう」(「学内広報」1521号、2019年)

 しびれる発言である。

 OBにこれだけ逸材がそろっていても日本の首相とは縁がない。国会議員を送り出しているものの、やや迷走気味だ。

 自民党の齋藤健(1978年卒)は2022年11月、第2次岸田改造内閣で法務大臣に就任する。前任の大臣は筑駒OBで警察庁出身の葉梨康弘(1978年卒)だったが、失言を連発して事実上、更迭されてしまう。同窓にバトンが渡された。また、同時期、山際大志郎・経済再生担当大臣が旧統一教会との関係を取りざたされ辞任し、その後任には教駒OBの後藤茂之(74年卒)が就いた。

 2024年9月、齋藤は総裁選に名乗りをあげようとしたが、推薦人が集まらず断念した。

 10月、石破内閣が発足し、筑駒OBの赤沢亮正(79年卒)が経済再生担当大臣に就任した。

 2020年代、筑駒の東京大合格実績は半世紀前と大きく変わっておらず、現役合格率は相変わらず高い。優れた人材は出てくるだろうが、男子校を守り続けるのだろうか。

 北村豊校長はこんな話をしてくれた。

「将来、女子やトランスジェンダー、また、ハンディキャップがある方々についても、わたしたちが求めている学力に達していれば、筑駒で学んでほしい。小学校からの飛び級、海外からの留学生や移住者を受け入れることもできるようにしておきたい。そのためにはトイレ、更衣室、視聴覚室、スロープ、日本語教室、学生寮などさまざまな設備を整えなければなりません。だれでも受け入れられる校舎を作ることが先決ですね」(『筑駒の研究』 2023年)

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