幼少期に絵本はたくさん読んでくれたけど、絵本の次のステップにはどんな本がいいんだろう?――。そんな悩みを抱えるママ・パパに向けて、幼年童話を中心に、絵本から読みものへの橋渡しとなるおすすめの一冊を紹介します。
あらすじ
ある町のおもちゃ屋さんに、魔女のモビールが売られていました。ほうきにまたがった、黒いマントの魔女の人形は4人姉妹。上のお姉さんから順に、顔が細長くて石のような冷たい目をしたヘケート、長いとがった鼻のムルカ、突き出たあごのウルガ、そして末っ子は……小さくて丸顔で大きな目をしたナネットでした。
ナネットは高いところが苦手で、いつもしっかりほうきを握り、ときどきモビールが大きく揺れると、鼻やひざをあちこちにぶつけたり、「落っこちちゃう!」とおびえたりします。魔女らしくないナネットは、姉さんたちが夢見るように、船長や金持ちやパイロットに買ってもらいたいなんて思えません。ただ外で遊ぶ子どもたちが転んでケガをしたとき、誰かに「痛いの痛いの、飛んでけー」となぐさめてもらえるのがうらやましいと思うのでした。
秋になりおもちゃ屋さんには次々お客さんがやってきます。船を抱えた男の子や、高級車に乗ったおばあさん、プロペラ付きの帽子をかぶる女の子……。姉さん魔女たちは期待をふくらませますが誰にも買ってもらえません。ナネットがへまをしたと姉さんたちは怒りながら、去っていくお客に「ハロウィーンまで、まってなさい……」とつぶやくのです。そして待ちに待ったハロウィーンの夜、ついに魔女たちはいたずらに出かけます! ハラハラドキドキ、でも最後は心あたたまる絵童話です。
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