おすすめポイント

 冷たい目のヘケート、とがった鼻のムルカ、あごが突き出たウルガと、いかにも魔女らしい姉さんたちとくらべて、末っ子のナネットは魔女っぽくありません。小さくて自信なさそうで、本当は誰かに優しくしてもらいたいと願っています。そんな人形のナネットに共感する子がいるかもしれません。

『ハロウィーンまで、まってなさい』(ミリアム・ヤング 作/小宮由 訳/平澤朋子 絵/岩波書店 刊)

 姉さんたちは、やってくるお客さんに期待を裏切られるたび、後ろ姿に向かって「ハロウィーンまで、まってなさい……」とつぶやきます。その目つきは迫力満点で、子どもたちはきっとドキドキするはず。ハロウィーンにいったい何が起こるんだろう? と思いながらページをめくり、物語の中に入っていくことができます。

 作者のミリアム・ヤングは、1913年、アメリカのニューヨーク生まれの児童文学作家。訳者の小宮由さんは、時代を超えて読み継がれる児童読み物を、多数訳しています。すべての見開きページに挿入された、平澤朋子さんの挿絵が内容にぴったりで、物語と絵の一体感を味わうことができます。

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