タブレットは夜リビングで充電すると約束しているのに、夜中子ども部屋をのぞいたら布団をかぶった娘の胸のあたりがボワーっと光っている。もはや、アイアンマン状態です(笑)。お察しの通り、タブレットを見ていたんですね。「あっ、嘘をつくようになったんだ」って頭を抱えましたし、と同時に感動もしましたね。

――そういうときは叱りますか?

 まあ、叱ったり小言言ったりしますよね。教育関連の専門家の方とか、「叱らない子育て」をすすめているのを耳にしたこともありますが、現場レベルではちょっと難しいなと(笑)。反射的に小言は言ってしまいます。ただ小言の最初と最後、あと途中に1回くらい「あなたが何をしようとパパはあなたの父親だし、大好きな気持ちは変わらへんけども……」という言葉は添えるようにはしている。自分でも、よくそんなくさい台詞が吐けるなと恥ずかしいんですけど。

子どもができて固まった自分のスタイル

――お子さんが生まれてから変わったことはありますか?

 僕は中2から6年間引きこもって、20歳で大検(現在の高卒認定試験)をとって大学に行ったけれど、大学生活も何だか身が入らず。失踪みたいな形で上京して、お笑い芸人になったんです。芸人になりたてのときって、「冠番組を持つぞ」みたいなモチベーションで、ドキドキわくわくしながら活動を始める人が大半だと思うんです。でも僕は海に捨てられたビニール袋、ゴミが、海岸にたどり着いたみたいな感じで芸人になったんで。

 もちろん頑張ってはいましたし、飯は食えるようになりましたけど、それしかやることがなかったというのが正直なところ。就職しようにも、履歴書が真っ白で、書くことがなかったですから(笑)。それが子どもを授かってからは、成人するまでは飯を食わさなあかんという、ある種否応なし、仕方なしですが、モチベーションらしきものが初めて生まれた。

――仕事にも影響がありましたか?

 僕は今現在、人との付き合いが全くないんです。現場などでは表面上気さくにふるまえる。

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