問題ができたかできないか、の前に…
矢萩:親御さんが見るとしたら、例えば問題ができたのかできないのかの手前に、式が書けているかどうかというポイントがありますよね。その手前もあります。今まで問題の意味さえわかっていなかったのに、何を聞かれているのかがわかるようになった、とか。さらに手前だってあります。問題を間違えずに音読できた、みたいな。そういったことを一つ一つフィードバックしてあげて何かちょっとでも成長しているところを見つけてあげて、「昨日よりもこれだけできるようになったね」「この部分は成長してるんだからもうちょっと頑張ればもっと成長できるはず」っていう右肩上がりのビジョンを見せてあげることがすごく大事だと思いますね。
安浪:あと、子どもは純粋に点数が取れるうれしさもあると思うので、その教科を嫌いにならない方法として、点を取らせるための覚え方なり、暗記をたまには入れてもいいのかなと思います。もちろん、暗記に頼りすぎてもいけませんが。
矢萩:特に算数が苦手になっちゃうと、中学に入ってからの数学にも苦手意識を持ってしまうことがあるので気をつけたほうがいいです。本当は中学受験の算数が苦手でも、数学から入れることはたくさんあるんですが、算数で苦手意識を植え付けられちゃって、算数も数学も全部嫌、みたいなことになるともったいないです。
安浪:もう大学生になった教え子なんですが、小4の時は2時間かけてつるかめ算を教えても思うように問題が解けるようにならなかったんですね。でも、とてもコツコツ頑張る子で、学年が上がるにつれて着実に伸びてきました。中学受験では第1志望も第2志望もご縁がなくて、第3志望の学校に進学したんですが、一気に伸びたのが高1だったんです。4年生の時からずっと根を深く張り続けて、芽が出て伸びるタイミングは高1だったんだな、と。そして今年、第一志望の難関大学に合格しました。先ほど中学受験は、4、5、6年の3年間で見ないといけないと言いましたが、本来であればもっと長い目で見ないとダメなんだな、としみじみ思います。
矢萩:いや、まさにその長い目が必要だと思います。成長のタイミングはそれぞれですが、中学受験は1回勝負です。タイミングが合致していればメリットが多いですが、合っていないのに無理やり受験に合わせることで、未来の成長の芽を摘んでしまわないように気をつけたいところです。
(構成/教育エディター・江口祐子)