安浪:4年生だと塾に通い始めて1年未満の可能性がありますよね。ここで「やらないもの」があると何も積み上がらないんじゃないか、という不安が親御さんにあると思うんです。でも中学受験って4、5、6年の3年間で見なきゃダメなんです。特に4年生はここで何か思うようにいかないことがあっても、ゼロになるわけじゃないです。

苦手なところからやらされるのは「地獄」

矢萩:特に理科なんかは分野ごとの相性があります。生物はいけるけれど電気は無理です、とかいろいろあるじゃないですか。まずはいける分野は完璧にしよう、みたいにやっていってもいいと思うんです。大手塾の危険なところって、テストを受けたあと、ここが苦手ですね、じゃあまず苦手から潰していきましょうってなりがちなんです。子ども目線になってみたら、苦手なところからやらされるなんて地獄でしかないですよね。

安浪:塾のカリキュラムは塾都合で作っていますから、なんでこの時期にこの単元が入っているんだろう、みたいなものも多々あります。算数でも、私から見てこれは4年生には時期尚早、って思うものもあるんですが、親御さんには判断がつかないから、全部やらせようとしちゃうんですよね。

矢萩:まずはいけるところ、好きなところから伸ばしていって、6年生になっていろいろ揃ってきたら、苦手だと思っていたことをやったら今までできなかったことができるようになっているかもしれない。どのタイミングで何をやるのかという順番は、本当は全員違うんです。でもみんな塾のカリキュラムに合わせている。そこを1回見直してみるのはありだと思います。

安浪:とはいえ、塾からやれと言われたなかから自分たちでやるものを取捨選択していくのは難しいし、取捨選択できたとしても、やっぱり不安はあるんですよね。私が4年生の指導で「まだこれをやるのは早い」と飛ばすと、親御さんのほうがハラハラして、私が帰ってからその部分を教えたりされています。でも、私が飛ばした場所を親御さんが力業で教えても、子どもは丸暗記してその場をやり過ごしておしまいなんですよね。その勉強時間を、もっと別のことに使ってほしいです。

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