矢萩:親が取捨選択する方法としては、子どもを見てこの分野はめちゃくちゃ集中しているな、とか、何かしらの傾向に気づくことがあると思うんです。気分のムラだけじゃなくて、教科とか分野によって比較的ちゃんと取り組んでいるとか、そういうのをちゃんとキャッチアップしてあげて、「あなたはここが好きそうだね」とか「ここはまだちょっと早いかもしれないから、今回のテストはここは後回しでいいよ」みたいなこと言ってあげるとちょっとは楽になるかもしれない。

安浪:結局は6年の秋にどこにいるかが大事だから、そのうえで考えると4年生はまだ泳がす時期なんですよ。もちろん、できる子、やりたい子はどんどんやったらいいんです。それはその子の個性なんですから。あと、気分にムラがあるのは10歳では当たり前なんですが、まだ学習体力がついていないのも大きいと思います。4年生のうちは30分すわるのがやっとでも、6年生になると何時間もすわって勉強できるようになりますからね。

矢萩:精神年齢もありますし、5年秋から6年春でいきなり理解力が上がるケースは多いですね。

安浪:とにかく、親御さんが焦って無理に教えてしまって、勉強が嫌いになってしまったらおしまいなんです。4年生は勉強が嫌いにならないことが一番大事。塾に行っているだけで偉いと思います。

成長実感があると頑張れる

矢萩:大人もそうですが、子どもも成長実感があるとうれしいじゃないですか。でも塾に丸投げしちゃうと、その成長をテストや問題を解かせて判断するわけですよ。たとえわかっていてもミスして解けなかったら点数にならない。本人も自分は頑張ったのに成長してなかった、無駄だったっていうふうに解釈してしまう。それは絶対避けたいところです。1個何か覚えたら1個分の知識が成長しているわけです。

安浪:それこそ気分にムラがある子の場合、メンタルが落ちているときに問題をやらせても絶対に頭に入らないので、私は子どものテンションが低いときは「どうした?何かあった?」みたいに雑談から入って、気持ちをほぐしてから授業に入りますね。

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