2科受験という選択肢も

矢萩:志望校はまだ決まってないと書かれていますよね。それでいうと、中堅校であれば、6年秋からでも理社を詰めて間に合わせることはできます。もちろん学校レベルの知識がある前提ですが。でも、本気を出す時期はのんびりだとしても、ペースがのんびりのままでは間に合わないから、塾も親も結局お尻を叩くことになってしまう。娘さんがそんなに詰め込まれたくないんです、っていう感じだったら、2科受験にして国語と算数の力をつけていく方法もあると思うんですよね。まずはしっかり国語や算数のリテラシーや論理的思考力を身につけることに振り切って、理科や社会の知識分野は自分が興味があるところを中心にマイペースでやっていく手もあると思います。

安浪:とはいえ、昨今は中堅校の入試もかなり厳しい戦いになってきています。以前ならば学力的に難関校を目指す層の中でも、“とにかく1ポイントでも偏差値が上の学校”ではなく、“学力的に余裕のある中堅校で楽しく過ごして欲しい”という価値観のご家庭が増えています。そういう受験生は4科バリバリ勉強してきているので、もし2科受験で合格できたとしても、中学に入る時点ですでに大きな差ができている、という現実があります。

矢萩:ただ、たとえ2科受験でなくても、最近はアドミッションポリシーをはっきり打ち出している学校が増えているので、そういうところを丁寧に見ていくと、大手塾でやる知識を網羅しなくても合格できるところがあります。そういうふうな学校の決め方をすると若干のんびりできるんじゃないかなと思いますね。

安浪:たしかに、そのタイプの学校ならばご縁をいただいた後も学校になじめますね。以前、すごいチャキチャキで仕事もバリバリタイプのお母様が、親子で学校をいろいろ見に行ったときに、学校の情報をしっかりインプット・分析して「あなたにはここがいいんじゃない?」とアドバイスしたけれど、本人が気に入った学校は全然違うタイプだったそう。理由を聞いたら「生徒がみんな優しそうで仲が良さそうだから」と。もしかしたらご相談者のお母様もお嬢さんの価値観がどこにあるのか、そこを改めて注目して学校選びをすることも大事かと思います。

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