はじめはシリーズ本ばかりを制覇していたのですが、図書室にいる時間が長くなったので、それまでは決して読むことのなかったジャンルの本にも手を伸ばすようになりました。そこには、読書好きの友達を意識して「あいつはこの本は読まないだろうな」と、友達を驚かせたいという下心もありました。でも、それで実際に読んで「あ、おもしろい!」と、新境地を開拓した経験も数えきれません。

 また、自分が好きな本が並んだ「棚」を読みつくして、「じゃあ次はこの棚の本を読んでみようかな」と、何気なく読んでみた本にハマることもありました。とくに、歴史や生物などに関する本とはこのような感じで出合ったんです。はじめはマンガを一気読みして、次は物語を読む。ギリシャ神話なども読んでいましたね。

「今日、このあとは何読もうかな」と、本棚を眺める時間もすごく好きでした。なんというか「心の余白」のようなその感覚が、子ども心にとても心地よかったのです。

小学生時代に、読書の土台ができたことで、将来が大きく変わりました

――小学生時代に読書にハマったことで、今の笹沼さんに「影響を与えているな」と感じることはなにかありますか?

 まず、中学受験で大いに役立ったと思います。もともと国語と算数は得意でしたが、国語はとくに努力することなく高い点数がとれていました。「覚える」ことが苦手だったので社会は点数低めでしたが、国語と算数に引き上げてもらいました。中高でも、国語の勉強に時間をかけた記憶がありません。

 さらに、中学時代に「英語多読」にハマりました。これで英語力がかなり鍛えられました。

――英語多読ですか?

 はい。実は、それまでの英語の成績は、学年で「下から」5本の指に入るくらいだったのです。そんな僕を心配した友達が、英語多読の塾を教えてくれました。ただただ、英語の本を読む。これが苦でなかったのは、なんといっても読書のスキルがあったからです。

「文字が読めること」と「内容がわかること」は異なりますよね。文字が追えても、意味や文意をとれていないこともあります。これは、英語でも同様です。読む部分が「英語」になるだけで、読んだ後で「理解」することは同じです。文章を理解するために、読書のスキルが大活躍することを痛感しました。

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