子どもの長時間にわたるYouTube視聴やゲーム——。よくないとわかっていても、解決方法を探るのは難しいものです。オックスフォード大学教授のチョ・ジウンさんによると、イギリスの親は「まずは親が子どものよい手本になること」「親がもっと面白い代替案を提示すること」を大切にするといいます。韓国とイギリスの両国を知る教育者であり、2人の娘の母でもあるチョさんが、家庭で実践している「デジタル中毒」の解決策とは? チョ・ジウンさんの著書『オックスフォード式 勉強感覚の育て方 頭のよさは10歳までに決まる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)からお届けします。

MENU 幼児の動画視聴について米国小児科学会が勧告 健康的に子どもに映像を視聴させるには?

幼児の動画視聴について米国小児科学会が勧告

 韓国と同じように、イギリスの親も子どもがYouTube やゲームに長時間さらされることに否定的です。私も同じです。ですが、親が子どもと一緒の時間を持とうとしないまま、あるいはもっと面白い代案を提示せずに、ただ子どもを責め立てるだけではこの問題は解決しません。イギリスの親は、どうすれば子どもと一緒に「楽しい時間」を過ごせるか懸命に考えます。そのため、子どもはYouTubeやゲームにあまりハマりません。

 韓国では、外食先などで幼児にスマートフォンやタブレットを持たせる光景をよく見かけます。 こうした光景を、イギリス人の夫はとても不可解だと言います。私もイギリスでは、まだそんな光景を見たことがありません。韓国の親は、レストランで泣いたり走ったりして落ち着きのない子どもをスマホの前にはりつけておくことで、食事の時間を確保しています。子どもがさわぐのはイギリスも同じなのに、なぜイギリスの親は同じ方法を使わないのでしょうか?

 米国小児科学会は、18カ月前の子には、映像を見せないことを勧告しています。また、18~24カ月の幼児には、家族や友達との映像通話以外の画面は見せないよう勧めています。さらに2歳から5歳までは、1日のスクリーンタイムを最大1時間に制限します。このスクリーンタイムとはテレビ、コンピューターなど、すべてのデジタルメディアの画面視聴時間の合計です。また、見せるコンテンツは良質のものを厳選しなければなりません。

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チョ・ジウン
チョ・ジウン

英国オックスフォード大学東洋学部教授。児童学と言語学を用いて子どもたちが言葉を学ぶ過程を研究している。オックスフォード大学東洋学部では入試面接官として、毎年多くの優秀な学生を分析してきた。最近は人工知能時代の言語教育について研究している。

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