子どもが長い間机に向かって勉強して、空いた時間にはスマホを見たり、ゲームをしたり――。本人は休めているように感じても、実は脳は刺激やストレスを感じていて、本来の学習の能率が発揮できないといいます。「ぼーっとする時間」の大切さや意外な効用について、韓国とイギリス両国の教育にくわしいイギリスオックスフォード大学教授のチョ・ジウンさんの著書『オックスフォード式 勉強感覚の育て方 頭のよさは10歳までに決まる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)からお届けします。
【マンガ】「偏差値の高い学校」への思いを捨てきれなかった母の路線変更(全38枚)学習に本当に必要な要素は「忘却」
ベネディクト・キャリーは、著書『脳が認める勉強法──「学習の科学」が明かす驚きの真実!』(ダイヤモンド社)の中で、毎日同じ方法で集中するのは誤った勉強法だと強調しています。人間は、ロボットや機械とはまったく異なるからです。代表的な事例が、「流暢性の幻想」です。これは、同じ内容を繰り返し読むと、まだ熟知していない内容なのに、まるですべて知って記憶しているように錯覚する現象を言います。書き取ったりマーカーで線を引いたりしたとき、この落とし穴にはまりがちです。
著者はむしろ、学習に本当に必要な要素は「忘却」であると主張します。忘却は大量の情報のうち、重要なものだけを残しておくフィルターの役割をします。何かを暗記してから一定時間が過ぎると、最近の事実や単語がよりよく思い出せるのもこのためです。
私たちの脳には「デフォルトモードネットワーク」というものが存在します。このネットワークは、何もしていないとき、つまりぼーっとしているときに活性化します。このとき人は過去を省察し、未来を展望します。自我意識を発展させつつ、自分について深く考察する力を持つことになるのです。
ぼーっとする時間は、自分の内面の声に耳を傾ける時間
多くの人が、シャワー中に新しいアイデアが浮かぶといいます。同じように私も、机の前では漠然としていた問題が、泳いでいるときや自転車に乗っているとき、散歩をしているときに解決することがよくあります。
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