最も重要な点は、幼児期に映像を見せるときは、母親や父親、保護者と一緒に視聴することです。もちろんこれらは勧告事項であり、子どもの発達程度によっても個人差があるでしょう。親は、映像視聴が子どもの身体活動や遊び、睡眠、社会的な交流などに悪影響を及ぼしていないか、常に気を配る必要があります。

健康的に子どもに映像を視聴させるには?

 脳が盛んに成長する時期にデジタルメディアに長く接しすぎると、脳の発達や人格形成によくない影響を及ぼします。メディアを視聴するとき、脳は通常、後頭葉のみが活性化され、派手なコンテンツを受け入れる活動だけに集中します。そのため、脳全体を管掌する前頭葉の成長が鈍りやすくなるのです。前頭葉は、思考、感情のコントロール、計画性、意思決定などに関与するため、ここに問題が生じると、徐々に集中力と注意力が低下していきます。

 では、健康的に子どもに映像を視聴させることはできないのでしょうか?そのためにまずは、親が子どものよい手本になりましょう。家庭内で、映像をまったく見ない時間や場所を決めておくのも、一つの方法です。わが家の場合、玄関に入ったときに全員が下駄箱の上にスマホを置きます。家族の会話を大切にするためです。

 たしかに、仕事を終えた後で、子どもとの時間を持つのは体力的にきついことです。けれども子どもには、親と顔を合わせて話す時間が必要です。1日のうち、子どもと共有する時間が長くなればなるほど、デジタルメディアによって生じたコミュニケーションギャップを縮めることができます。

 通常、10歳以下の子どもはよくしゃべります。幼稚園で起きたこと、学校で起きたことを、お母さん、お父さんにすべて話したいと思っています。その時間を親がうまく作ることができれば、子どもがテレビやゲームに没頭する時間も自然に減っていくでしょう。

 一方、映像やゲームを親子で楽しむことも必要です。

次のページへゲームは勉強の「敵」じゃない
1 2 3