また、南アフリカのウィットウォーターズランド大学は、新型コロナで入院した患者さんにビタミンD不足が多かったことを発表しました(※3)。近年、ビタミンDはウイルスと闘うために体内の免疫機能を高めるはたらきがあるのではないかと、注目を集めています。
日焼け止めや日傘…紫外線対策が栄養不足を招く?
――なぜ、ビタミンD不足が増えているのですか?
ひとつは生活様式が変化したことが関係しています。ビタミンDは、日光を浴びると体内で合成されるのですが、今は子どもも紫外線対策で日焼け止めをしっかり塗り、帽子をかぶったり日傘を差したりしていますよね。日光に当たる機会が少なくなったことが、ビタミンD不足の一因だと考えられています。
もちろん、紫外線が皮膚に与える問題や、熱中症のリスクもあるので、日差しの強い時に外に出たほうがいいとは言いません。でも、朝や夕方など比較的涼しい時間帯に散歩をしたり、ベランダに出たりして、少し日光を浴びる習慣をつけるといいでしょう。直射日光でなく、木漏れ日程度でも十分です。
ビタミンDは日光を浴びた食品にも含まれています。昔は干しシイタケなどの乾物や魚の干物などからビタミンDを摂取できていました。今もそうした食品はありますが、実際に天日干しにしたものは少なく、大量生産しやすい機械乾燥や、フリーズドライで作られたものが多いそうです。そのため、食品からビタミンDを吸収することがとても難しくなったのです。
たんぱく質摂取量は「戦後すぐと同水準」にまで低下
――ほかにも、子どもたちに意識的に与えたほうがいい栄養素はありますか。
意外かもしれませんが、たんぱく質が足りていない日本人がとても多いんです。私も衝撃を受けたのですが、現代の日本人のたんぱく質摂取量は、戦後まもない1950年代と同水準であることがわかっています(グラフ参照)。
このグラフを見ると、日本の経済状況が良くなるにつれて、たんぱく質の摂取量も増えていきましたが、バブル崩壊後ぐらいからガクンと減っています。どうしても、たんぱく質は炭水化物よりも値段が高いんですよね。経済状況が苦しい中、子どもをおなかいっぱいにしようとすると、肉や魚より、ご飯やパスタなどを優先することはあると思います。
次のページへ